■朔の夜に…             2007年8月13日

 

 

 

 

 

 

 

 

山の中腹に人知れず取り残されたような荒れた小屋の中から

時折、軋むような物音と共に、荒々しい息遣い。

 

 

「…はぁ、…あ!ああん!」

 

「…う、…ふ、…ふぅ…。」

 

 

息を乱しながら固く抱き合い、絡み合う。

 

 

「・・・ふぅ・・・。」

 

 

どちらともない深呼吸。

 

やがて、さっきまでの時間が嘘のように、

また今までの激しかった行為の名残を惜しむかのように

肌を寄せ合う、そんな二人。

 

あれだけ激しかった犬夜叉も、まるで自分の中の獣が腹を満たしたかのように

やさしい黒い瞳へと変わり、じっと自分を見つめる。

 

あの輝き…、好き。

 

私だけが知ってる犬夜叉の潤んだ黒い瞳。

 

…好きよ

 

 

犬夜叉…

 

 

 

 

 

 

 

 

「…喉、渇いちゃった…。」

 

 

そういって立ち上がろうとしても思うように立ち上がれない。

激しい行為が立ち上がる足腰の余力さえ奪っていた・・・らしい。

 

(加減ってものを知らないんだから・・・)

 

そんな『ぼやき』、そしてこみ上げる『嬉しさ』。

 

男にはわかんないよね、こんな気持・・・。

 

いくら半妖ではなく人間だとはいえ、そういう時だからこそ

なおも激しく行為となることも珍しくない犬夜叉がふと見つめる。

 

 

「なんだよ、大丈夫か?」

 

 

そういって黙って小屋の脇にと置いていたリュックを

取りにといく辺り、ああ、この人は本当にやさしい…と感じる。

 

犬夜叉は慣れた手付きでリュックを開け、

中から水の入っているペットボトルを取り出した。

 

 

「体起せるか?」

 

背に手を回し、優しく抱き起こしてくれる彼。

 

こんなに優しい人なんだって、

誰も知らないわよね

 

きっと…

多分…

 

女ってこんな瞬間が一番幸せなんだって

犬夜叉、気づいているかしら?

 

ふふ

知らないわよね

 

だって、あんたは私が教えた訳でもないのに、

当たり前のように手を差し伸べてくれるんだから

だから、私もあんたの求めるものに応えてしまうんだわ。

 

 

「ここに来いよ。」

 

 

そういって軽々と目の前で横たわる体を持ち上げると

胡坐をかいた自分の内側にすっぽりと納めた。

 

 

「あん。水飲むだけだから、大丈夫よ。」

 

「そういうなよ。せっかく人間の体なんだぜ。」

 

「?」

 

「こうして、人間と人間って感じで触れ合うってのも悪くねぇ…。」

 

 

 

犬夜叉…

 

そうよね

出会った頃は朔の秘密を打ち明けることさえ

阻んでいたものね

 

弥勒様や珊瑚ちゃんにさえ正体を明かしたときのあの複雑そうな顔。

 

あなたの秘密を知っているって

仲間が増えたってことなのよ

 

そうやって、あんたは人と人との触れ合いに喜びを知っていく。

 

そんな犬夜叉が私は嬉しい。

 

 

 

 

 

「ねぇ、お水飲ませて?」

 

「え?あ、ああ、これな。」

 

 

そういって手に持ったままだったペットボトルのキャップを開ける。

 

 

 

ふふふ

そこまで気を使わなくてもいいのに…

 

 

「かごめ?」

 

「何…、ん!」

 

 

犬夜叉は自分の口にと含んだ水を直接口移しにと私に飲ませる。

 

唇の端から、さっきまで火照っていた乳房にと僅かに毀れ落ち行く雫。

 

 

「あん…、いいって、自分で飲めるわ…。」

 

「飲ませてやるって…。」

 

 

そういいながらも水を含んだ犬夜叉の口は

かごめの口内を冷ややかに舌を押し込み、じっくりと中を味わう。

 

 

私は水が飲みたかっただけなのに…

 

 

「なぁ、かごめ…。」

 

「何?」

 

「もう一回…。…な?」

 

「え!?」

 

「なんだよ?」

 

「・・・もう時間も遅いし、少しは寝なきゃ…。」

 

 

僅かに匂わす躊躇いと・・・悦び。

正直言って、求められるって嬉しいじゃない?

 

でも・・・

 

 

「村に帰るのは明日ゆっくりでもいいだろうが。」

 

「でも、楓ばぁちゃんとか皆待ってるのよ?」

 

「今夜は朔なんだぜ?」

 

 

そういって、うまい具合に自分の内側に納めた私の体に手をはわし始める。

 

 

「あ…、そんなに出来ないわよ…。」

 

「大丈夫だって。」

 

 

そういって、ゆっくりと私の体を横たえると

犬夜叉は、ほくそ笑みながら、

両足を開かせ、間に割って入るように膝を捻じ込む。

 

 

「…や、…だめ。」

 

「どうして…?」

 

「だって、さっきだってあんなに…。」

 

「あんなに…、なんだよ?」

 

「…あん!」

 

 

犬夜叉は再び露になった乳房をゆっくりと手に収め、

やがて反応してくる感触を確かめる。

 

 

「あん…、んん…。」

 

「こっちは・・・どうだ?」

 

 

そういって、開かせた膝と膝の間、その中心にゆっくり指を宛がう。

 

ついさっきまでしていた行為のせいか、

僅かに濡れが少なく感じないでもない。

 

だが、それでも反応がないわけでもない。

 

犬夜叉は両手で乳房を弄り、

艶かしい喘ぎ始める声に聞き入り、

潤み始めた瞳を見つめながら、

花弁の中心へと舌を這わせ始めた。

 

 

「ああ!やん!」

 

「…。」

 

 

執拗に攻める舌の動き。

再び、込み上げてくる悦。

 

 

「やっぱ、人間の体ってのは違うんだな。」

 

 

喘ぎながらも犬夜叉の思わぬ言葉に耳を疑う。

 

今更、何言ってる…の?

何を気にして…

 

ねぇ、犬夜叉?

 

 

「犬夜叉?…どうしたの?…あん!」

 

「あ、いや、こうも暗い夜ってのはお前と会うまでは嫌で仕方なかった…。」

 

 

 

そっか…

そうだよね

 

半妖の時は夜目が利くから、灯りなんか必要なかったくらいなのに

人間になると、普段できることができなくなるって

 

…不安…よね

 

 

思わず、私は犬夜叉の漆黒の髪をそっと梳きながら、…抱きしめた。

 

 

「やっぱり、見えない?」

 

「…ああ、いつもは昼も夜も変わんねぇのによ…。」

 

 

こんなときにでも、そうやって

人間になっている自分と葛藤がどこかにあるのかしら?

 

 

「犬夜叉…。」

 

「あ?」

 

「私もあんたと同じよ。今は月明かりもないから見えないわ。」

 

「…。」

 

「同じよ。怖くはないわ…。」

 

 

そういった瞬間、彼がふっと笑ったのが見えた。

 

 

え?

あ、なんか私、おかしなこと言ったかしら?

 

…犬夜叉?

 

 

 

 

「かごめ、お前は本当にかわいいよな。」

 

「え?・・・ああ!やん!」

 

 

普段は絶対口が裂けても言わない台詞も人間になると

容易に言えちゃうものなのかしら?

 

 

「お前は、本当に…。」

 

 

そういって、犬夜叉は打ち震え悶える太ももに両手をかけ更に押し広げ、

その間をまるでこれ見よがしにと言わんばかりに音を立て啜り始めた。

 

卑猥な水音。

否応なしにと反応を示す潤い。

 

時には下のほうから覗き込むように

顔を上げては、元の位置へと戻し、啜り上げ、責め始める。

 

 

「あ!や!…やめ…、ああ!」

 

「だんだん、濡れてきたぜ?」

 

「やん…。」

 

「ほら、こんなに…。」

 

 

そういって今まで舌を這わせていた場所にゆっくりと指を沈み込ませる。

 

その感触に思わず仰け反った。

 

 

「ああ!いやぁ!ああん!」

 

「まだ、いけるぜ?」

 

「ん・・・、やぁん!」

 

 

1本、2本、…3本まで入るかと思ったとき、

余していた親指が花弁の核を捏ね回す。

 

 

「あ!や!ああん!」

 

「ほら、感じてるじゃねぇか。」

 

 

何?

さっきまでのあんたは何だったの?

 

暗いから不安だとか

そんなこといってたあんたが

 

一体…?

 

 

押し寄せる快感の中、僅かに残る理性が

犬夜叉のさっきの謎めいた言動をいぶかせる。

 

 

犬夜叉は身を起こすと、さんざ弄んだ濡れぼそった部分を広げたまま、

両足を持ち上げると、かごめの太ももを自分の固く引き締まった

筋肉質の固く引き締まった腰元へと引き寄せる。

 

かごめの腰が床から持ち上げられ、

太ももの中心が犬夜叉の真下にと晒された。

 

 

「や!恥ずかしいわ!」

 

「今更、何いってんだよ?どうせ見えないだろ?」

 

 

まるで、そのまま自身を貫くかのような姿勢で

再び、鋭い爪を失った指先で器用に秘所を弄る。

 

お互いわかりきっているとは言え、

自分の下半身が犬夜叉の眼下に露に晒される思うと

殊更羞恥心が悦を呼び起こし、

喘ぐ声を高めていく。

 

そんな反応を見つめ眺め、うっすらと笑みさえ浮かべる犬夜叉。

 

 

「や!やめて!恥ずかしいから、…ああん!」

 

 

だが、一行に手の動きは変わらず、

むしろ激しく、時には優しく

片手を乳房に、もう片手を花弁にと

手を動かすたびに見て取れる反応を眺め、ほくそ笑む。

 

 

犬夜叉?

ねぇ、

何?

 

暗いのが不安とか

言ってたじゃない?

 

何が

あんたにそう言わせているの?

 

わかんない…よ…

 

 

込み上げる快感。

再び、溢れる蜜蝋。

 

抜き差しを繰り返す指の動きに

反応してしまう自分に戸惑いながらも

頭の芯が真っ白にと、

快楽以外何もなくなりそうな自分の中で

必死に理性と戦う。

 

 

「これだから、人間ってのは厄介だな。」

 

 

再び口にする言葉。

 

 

「あん!や!…そん…なに…。」

 

「いいんだろ?感じてるんだろ?」

 

「…ん、んんん…。あん。」

 

「して欲しいって言ってみろよ…。」

 

「や、…あん、やあん…!」

 

「お前の口から聞きたいけど、・・・なかなか言わねぇからなぁ。」

 

 

動きを止めることもない指先。

 

いつもと違う黒い瞳が見つめる

いつになく、いや、

普段、半妖の彼がよく知っているはずの自分の高揚した顔。

 

犬夜叉の太ももの上に持ち上げられた腰が右に左にと

淫らに蠢きながら、熱い息を漏らし続ける。

 

やがて、犬夜叉は乳房を弄んでいた手を離し

脇にと置かれていたリュックを手元に寄せると

片手で何かを取り出した。

 

目の端から窺える犬夜叉の行為が

これから何をするのか、まるで理解できない。

 

 

ねぇ

犬夜叉?

 

何よ?

これ以上…

 

あたし、…おかしくなっちゃう

 

なのに、

なんで、あんたはそんなに余裕に私を見るの?

弄べるの?

 

暗いのが嫌なんていっときながら…なぜ?

 

 

「あ!やん…。犬夜叉ぁ!」

 

 

押さえきれない悦の海にいつ溺れてもおかしくない自分。

 

脇に見える犬夜叉のリュックの中から取り出したものが目に入る。

 

 

「な、何?・・・あ、ああん!」

 

「人間ってのは不便だからな・・・。」

 

 

 

 

カチッ

 

「!」

 

「こうすると、お前のいい顔がよく見えるぜ?」

 

「あ!やめて!嫌よ!」

 

 

暗闇の中、床へ横にと置かれた懐中電灯が

煌々と照らすは、悶え震える自分の顔。

 

眩い光に思わず目を細める。

 

 

「嫌!やめて!・・・恥ずかしいから!犬夜叉!」

 

 

聞く耳を持たず、懐中電灯でかごめの顔を照らしたまま、

何度となく秘所を攻め続ける指先。

 

それを見つめ眺める犬夜叉が見たものは、

指を動かすたびに頬を高揚させ、目尻に薄っすらと滲む涙。

 

 

「・・・俺、もう・・・我慢できねぇ・・・。」

 

 

そういうと、自分の腰元まで持ち上げていたかごめの体を

さらに大きく持ち上げ、丸め込むと

まるで、真上から杭を打ち込むように

熱く燃え盛る自身を貫いた。

 

 

「ああ!あ!いやぁ!」

 

「・・・はぁ、・・・いい。・・・すげぇ、かごめ。」

 

 

かごめの膝を床に付くくらいに大きく曲げこみ、

真上から激しく進退を繰り返す。

 

懐中電灯に照らしだされる悶える顔は

既に羞恥心をも吹き飛ばしていたのか、大きく仰け反り

自分に打ち込まれる杭の動きに息を荒立てた。

 

 

いや!

こんなあたしの顔

 

そんなに見ないで!

 

恥ずかしいから見ないで!

 

犬夜叉!

 

 

「・・・苦しいか?・・・それとも・・・?」

 

「あん、あ、ああっ!」

 

「・・・俺・・・を、吸い込ん・・・でるようだ・・・!」

 

 

かごめの足首をしっかりと押さえ込み、

何度となく叩き付ける自身が卑猥な水音を立て、

その声にあわせて、二人とも荒々しく熱い息を漏らしていく。

 

 

「こっから、・・・見えるんじゃ・・・ねぇ・・・か?」

 

「あ・・・ん・・・?」

 

「お前と俺が繋がってる・・・とこ・・・。」

 

「!」

 

「ほら・・・。」

 

 

そういうと、犬夜叉はまるで抜き出すかのように大きく体を離し

後少し、もう少し・・・そこまでいくと再び、強く杭を差し込み、・・・繰り返す。

 

 

「あ、や!・・・おな・・・かに・・・響く・・・!」

 

「・・・いいんだろ?かごめ?」

 

「ん・・・、ん・・・!」

 

 

もう頭の中は何も考えられない

犬夜叉の目も見るのもままならない

 

あんまり

 

あんたが

 

 

よすぎて・・・・!

 

 

 

こんなの

本当に自分なの?って

自分でも信じられない

 

 

 

犬夜叉!

 

 

「・・・いいんだろ?・・・応えて・・・みろよ。」

 

「あん!・・・んん!あ!」

 

「・・・俺はすげぇ、・・・いい。・・・お前は・・・?」

 

 

やがて、犬夜叉はかごめの足を床にと戻すと

いつものように、

いや、それでもいつもより激しく進退を繰り返し、

やがて、かごめの中がいつもより

強く吸い付くようにきつく絞まった瞬間

犬夜叉も自分の中の思いを吐き出した。

 

 

床の上。

 

布団らしいものなく

ただ犬夜叉の緋の衣を敷いただけの

粗末な小屋で

激しい息遣いの男の女が

重なり合い、固く抱き合う姿を

戦国時代には存在し得ない懐中電灯が静かに照らしている。

 

 

「・・・よかったんだ・・・ろ・・・?」

 

「・・・・う・・・ん・・・。」

 

 

今の私に応えられる精一杯の応え。

気を失うかのように瞼が重くなったかと思うと

もう自分の意識はなくなっていた。

 

でも、その一言でも犬夜叉は私が満足していることを諭してくれる・・・はず。

 

もちろん、私も犬夜叉が満足してくれてるって伝わる。

 

そんな抱擁。

やわらかい、やさしい心地よい温もり。

 

 

 

 

気がついたら、そのまま寝ちゃったみたい、私。

犬夜叉がずっと抱きしめていたから、

全然寒くもなかったけど。

 

もっとも目が覚めたのは日が随分高くなってからだったけど。

犬夜叉もちゃっかり袴だけはつけてたし。

 

 

「もう村に帰るでしょ?」

 

 

昨夜の悶えていた自分の顔なんか

まったく知らないって感じに犬夜叉も

いつもの半妖に戻り、ゆとりある強気な金の目で私を見つめる。

 

 

どっちの瞳でも私は大好きよ

 

金の瞳

黒い瞳

 

犬夜叉

 

 

どっちも私だけの知るあの時の瞳・・・

 

 

 

お互い何を言うわけでもなく軽く口付けを交わす。

 

 

 

 

 

 

「なぁ、かごめ。」

 

「ん?何?」

 

「これって便利だな。」

 

 

何気に手に持っている懐中電灯。

 

 

・・・昨日の・・・!!

 

 

「でも、もう何も灯りでないぞ?」

 

 

そりゃ、そうよ!

一晩中、つけっぱなしだったんだから!

 

 

「かごめ?」

 

「何よ?」

 

 

ちょっと、不貞腐れて応える私。

 

 

「また、使ってみっか?」

 

にやっと笑った犬夜叉。

その顔を見た途端、言わずにはいられなかった私。

 

 

「あすわりーーーーー!!!!」

 

 

 

 

そんな、ある日の朔の夜の出来事。

 

 

 

 

 

 

【後書】

考えてみれば、朔の夜って犬夜叉にも夜目はあまり利かないなと

そう思ったら、それ系ネタで書きたくなった朔小説。

 

やっぱ、SSには程遠かった。出来るだけ字数を減らしたかったけど。

次回はもっとコンパクトに纏めること頑張ります。

 

さて、どうでしたか?よかったでした?

 

相変わらず、ちょい鬼畜の入った攻め犬でしたが、

双方ともそれなりによかったらしい。

とは言え、やはり最後のお仕置きはかごちゃんの言霊でしょう^^

 

原作でも二人の言霊が『おすわり』じゃなく『愛してる』にと変わる日が待ち遠しい・・・。

ということで取りあえず、二次で萌えネタ創作♪

 

はなまま