■朔の夜に…             2007年9月11日

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・なぁ。」

 

「嫌(いや)。」

 

「なぁってば・・・。」

 

「嫌よ。」

 

「・・・かごめ・・・。」

 

「駄目!嫌ったら、嫌なの。」

 

 

雨の音が寂れた小屋に叩きつけている。

 

もしかして・・・・

 

そうは思ってみたが

 

それは見事に的を射た。

 

が。

 

 

「本当にごめん。やっぱり私には・・・。」

 

「俺は・・・!・・・気にしねぇ・・・よ。」

 

なんだか、自信があるんだかないんだか

わからない返事。

 

でも、ね。

 

あんただって、もう分かっているじゃない。

女の子の体はどんな風に・・・って。

 

こればっかりは

どうしても

抵抗があるのよ

 

見られたくない

 

ただでさえ、

あんたのその嗅覚

ちょっと分かりすぎ!

 

 

『そろそろ来んのか?』

 

 

そんな言い方ないじゃない!

本当にデリカシーってものがないんだから!

 

 

「・・・やっぱ、嫌・・・か?」

 

 

そういっている割には

いつの間に?

 

普段には見ることのない今夜だけの特別の

黒い瞳が潤んで揺れる。

 

でも、その割りに・・・

 

私、体が壁際まで追い詰められてて

逃げ場がないし。

 

そういえば、二人で並んで座ってたとき

言い寄る犬夜叉から

逃げるように

そのまま後ずさりしてたんだった。

 

しかも

獲物を捕らえたように

両手でしっかり壁に手をついて

ひざで私の足、挟みこんでるし。

 

 

逃げらんない・・・。

 

 

「・・・俺は気にしないって・・・。」

 

「私は気にするの!」

 

「どうせ、暗いんだ。少し汚れたくらいで・・・。」

 

 

そんな問題じゃない!

見られたくないの!

そんな綺麗なもんじゃないの!

 

お願いだから!

 

犬夜叉・・・

 

わかってよ・・・

 

 

「やっぱ、駄目・・・か?」

 

「お願い。わかって・・・。」

 

「・・・・。」

 

「これが終わったら、・・・ね?いっぱいしよ?」

 

犬耳じゃないのに

どういうわけか

ピクリと動いた耳の動き。

 

 

・・・これ、まずかったかな?

 

 

「・・・ふぅ・・・。」

 

犬夜叉のため息。

あきらめついた?

 

 

「じゃ、抱きしめるくらいは・・・、いいだろ?」

 

「抱きしめる・・・だけ?」

 

「それ以上、何もしねぇ。」

 

「・・・キス・・・じゃなくって、く、口付けくらい・・・な・・・うぐ!」

 

 

その言葉、もしかして待っていた?

ものすごい勢いで私の口に割り込んできて!

 

 

「ん・・・ん!・・・んん!」

 

 

暫く続いたキスは

確かに熱いキスだけど、

でも、

やっぱり出来ない・・・!

 

 

って、あれ?

 

何してん・・・の?

 

 

「い、犬夜叉?」

 

「今日はこれでいい・・・。」

 

 

追い詰められて壁際に座り込んでいる私を

犬夜叉の大きな体がまるで

檻のように、

でも、それは真綿を包む込むように

やさしく・・・

 

そして、妖力を失っているはずの

鈍い嗅覚が私の輪郭を

わずかな距離を保ちながら、

なぞる・・・。

 

 

あ・・・

 

なんか、犬夜叉の息が熱い・・・

 

荒いんじゃなくって

 

・・・熱いの

 

 

「ね、・・・犬夜叉?」

 

「…なんだ?」

 

「あ、いや、何してんの・・かなって・・・。」

 

「・・・・。」

 

「犬夜叉?」

 

 

大きく息を吸い込んだのか吐いたのか

どきどきと高鳴る自分の鼓動でわからなくなっている!

 

なんで、こんなに緊張してるんだろう

犬夜叉だって我慢してくれているのに

 

なんか、

自分、犬夜叉の息で、もしかして火照ってる?

 

 

「ねぇ、犬夜叉?抱きしめるんじゃ・・・ないの?」

 

もう一度大きな息。

今度はわかったわ

 

って、ため息ね・・・・

 

 

「お前を少しでもって、・・・でも抱いたら、止めらんねぇし・・・。」

 

「犬夜叉・・・。」

 

「お前の匂い、抱いているとき、いっつも嗅いてるんだ。」

 

「・・・・。」

 

「・・・お前の匂い、全部俺のもんだって抱いてるとき、・・・思ってる。」

 

 

え!

 

な、なんで、そんな!

そんな言葉、あんたの口から聞くなんて

思っても見なかったわ・・・!

 

やだ!

心臓の音が犬夜叉に聞こえそう!

 

や、駄目!

とまれ!

 

 

「犬夜叉・・・、本当に・・・ごめん・・・。」

 

「・・・わぁってるよ。」

 

 

ごめん、犬夜叉。

本当に我慢してくれているんだ・・・

 

 

「もう一回・・・いい・・・か?」

 

「何を?」

 

そういうと、犬夜叉の大きな手が

私の頬を優しく包み込んで

甘い口付けを交わす

 

 

暫くの間、そのまま

夢心地で自分はよかったけど、

あんたは

 

・・・かなり我慢してる・・・のね・・・

 

私に覆いかぶさっているせいか、

太ももに熱くなっている

犬夜叉のもう一人の本能っていうの?

 

熱を持って、私の太ももに触っている・・・・

 

 

それを理解した瞬間、

犬夜叉が突然立ち上がった。

 

 

「犬夜叉?どうしたの?」

 

「だめだ、・・・俺、外で寝る。」

 

 

え?

雨降ってるじゃない!

 

やだ・・・

 

そんなに・・・

 

 

「待って!犬夜叉!」

 

「あ?」

 

 

自分でも信じられなかった

後にして思えば

すごいことしてたかも知れない

 

でも

 

あんたの心が

想いが

 

あんまり

優しすぎて・・・

 

 

「え?あ、・・・かご・・め?」

 

 

さも自然に犬夜叉の腰の帯に手をかけていた。

袴の前の衣だけを取り外し

熱くなった犬夜叉のを・・・・

 

 

「ば!・・・やめろ!・・・いいって・・・!」

 

「いいの。・・・させて?」

 

 

その言葉を最後に私は立ちひざで

ちょうどの高さになる場所で

熱く硬くなっているものを必死に口にと銜えた。

 

 

「か、かごめ・・・?!」

 

「んん・・ぐ・・・ぐ・・・むぅ・・・。」

 

 

私も必死!

どの辺が一番感じるのかしら?

男の人って、

これ全部がいいの?

それとも部分的にあるの?

 

 

「・・・・あぁ・・・!」

 

「ん・・・む・・・うぐ・・・。」

 

 

犬夜叉、壁に手をついて

・・・もしかして、感じている?

 

目、伏せて・・・

時々、息を荒く吐き出して・・・

 

 

「・・・あ、・・・かご・・・め・・・、やめ・・・・。」

 

「んん・・・うぐ・・・。」

 

 

犬夜叉の言葉に耳を貸さない

いやらしい、破廉恥だ

なんて言われてもどうでもよくなっていたの

 

だって、犬夜叉が悦んでくれるなら・・・

こんなに我慢してくれる

犬夜叉だから・・・

 

愛してるわ・・・・

 

 

 

 

「・・・あ、・・・・はぁ・・・。」

 

「うぐ・・・ん・・・んん・・・んぅ。」

 

 

分かっているはずなのに、

こうして冷静になって

口にしてると

なんだか、不思議・・・

 

先端を音を立てて吸い上げてみる。

 

 

「・・・あ・・・は・・・ぁ・・・。」

 

 

暫く先端を余すところなく

吸い上げた後、

もう一度、喉の奥のほうまで

自分で出来る限りの奥の奥まで

ぐっと吸い込むように銜えた後、

少し、あごに力を込めて

その場から引き戻す。

 

その繰り返し。

 

隠微な水音だったのが

やがて、雫を垂らし、

口元を濡らしていく。

 

また、それがすべりをよくするのか

何度か往復してみた。

 

やがて、犬夜叉も込み上げてくる悦に酔いが回ったのか

壁にとついていた手を放し、

かごめの頭にと添えかえる。

 

かごめは立ちひざのまま・・・

犬夜叉は立ち上がったまま・・・

 

 

「・・・あ、・・・・はぁ・・・。」

 

「うぐ・・・ん・・・んん・・・んん・・・んぅ。」

 

 

あごが疲れる・・・

なんか、舌もしびれるような・・・

 

そう思っているうちに

自分の頭をつかんでいた犬夜叉の手が

まるで、自分の腰に押し付けるかのように

そして、腰もまた押し付けるかのように

動き始める。

 

 

「んん!・・・うぐ!」

 

「あ・・・あ・・・はぁ・・・・かご・・・め・・・!」

 

 

かごめ自身が動くこともなく

犬夜叉の添えた手と腰が激しく進退を繰り返す。

 

 

・・・・ちょ・・・ちょっと

い、息が・・・苦・・・し・・・い・・かも・・・!

 

 

「はぁ・・・あ・・・あ・・・!」

 

「んん!・・・んん・・うぐ!・・・・んん!」

 

 

犬夜叉の茂みの先端がたまに触れる鼻先。

 

はっきりと分かるのは

熱さと

どんどん硬くなって張り詰めていく犬夜叉自身。

 

 

「あ!・・・かごめ・・・!・・・もう・・・!」

 

「・・・・ん・・・んん・・・!」

 

「・・・はぁ・・・あ・・・っ」

 

「・・・・んん・・・んぐ!」

 

 

口内で弾けた

あまり口に慣れない液体

 

妙な塊が喉元を通ったことだけは間違いない

 

思わずといった感じで犬夜叉も

いきなり手を離すから

 

私の顔に少しついた・・・

 

 

「あ、かご・・・め・・・・。」

 

「・・・・・。」

 

 

私は出来るだけすました顔で

何事もなかったかのように

スカートから取り出したハンカチで

頬についたのを拭い取る。

 

犬夜叉の自身にもわずかに残っているのを

手にとって、

そして、もう一度口にして

綺麗にと舐めまわす。

 

あ、さっきよりやわらかい・・・

 

 

「ば、・・・もう・・・いい!・・・いいってば、かごめ!」

 

「・・・・・。」

 

 

初めて味わった・・・

犬夜叉の・・・

 

 

「よかった?・・・あまり上手じゃなかったと思う・・・けど・・・。」

 

「お、俺はそんなつもり・・・なかったんだぞ!」

 

 

正直、自分でもどうして

そこまで出来たのか

今となってはわからない

 

 

犬夜叉は真っ赤になって

そっぽを向くようにして肌蹴た衣を直し始めている。

 

 

「よく・・・なかった?」

 

「・・・・・。」

 

 

無言の犬夜叉

暗くても分かるわ

 

きっと耳まで真っ赤ね

人間のときじゃなきゃ見れないもの

 

もしかして

今日は私のほうがいいのを見たかしら?

 

犬夜叉の照れたときの赤い耳。

 

 

私、思うの

 

お互いの思いやりが

一番気持ちいいのよね・・・

 

我慢してくれたんだもの・・・

 

好きよ・・・

 

犬夜叉・・・・

 

 

 

 

「かごめ・・・。」

 

「ん?」

 

「・・・・・。」

 

なんだか、いつもと違って

犬夜叉のほうが目を大きく見開いていて

不思議そうに私を見てる。

 

ちょっと優越感、かな?

 

 

 

 

衣服を直し終えた犬夜叉が優しく私を抱きしめる。

お互い、そのまま横たえると

ようやく寝る体制をとるかのように

いつものように腕枕に私は頭を乗せ、

犬夜叉の優しい鼓動を聞く。

 

 

「今日はごめんね、我慢させて・・・。」

 

「・・・いや。」

 

「・・・やっぱり、私、下手?嫌だった?」

 

「・・・かごめ。」

 

「ん?」

 

 

腕枕ごと、ぐっと私を抱きしめる。

 

伏せた犬夜叉の長いまつ毛。

背中から流れてくる漆黒の髪。

 

 

「すげ・・・、よかった。」

 

「そう?・・・・嬉しい、犬夜叉・・・。」

 

 

 

 

 

 

そして、二人は眠りにつく。

 

お互いがお互いを思いやる

交わるのは

一部だけじゃないことを学んだ

そんな、ある日の朔の夜の出来事。

 

 

 

 

 

 

【後書】

年中、タイミングが言い訳ではないでして。

今回、女なら多分ありえるタイミングを犬かごでやってみました。

私の中の犬かごはエッチには、まだテクニックが未熟でして・・・。

そんなうぶな二人の交わりの中にも『愛』さえあれば・・・。

 

ふふふ・・・

いいな

若いって・・・(死)

 

はなまま