■三月ノ抄               2008年3月8日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ・・・

 

 

暗い部屋

見慣れた天井

 

 

(あ・・・そっか・・・、そのまま・・・寝ちゃったんだった)

 

 

かごめは静かに顔を横にと向きを変える

すぐ隣には

犬夜叉が寝息を立てていた

 

 

朔の夜

戦いの中でのささやかな休息

 

犬夜叉はかごめの部屋で

戦国時代では考えられない

そんな表情で寝息を立てている

 

 

かごめは暗がりの中、

目を凝らし

犬夜叉をじっと見つめた

 

引き締まった筋肉の腕枕は

かごめにとっても

何とも心地よい場所

 

そして

犬夜叉にとっても

かごめの体温は

何にも代えがたい温もり

 

朔の夜

人間へと変化する犬夜叉は

かごめの躯、温もりを

何よりも欲する

 

かごめもまたそれに応え

深い愛の交わりを繰り返す

 

今夜もそんな一夜をかごめの部屋で過ごしていた

 

伏せた瞼

意外な程長い睫毛

 

しばし、かごめは

犬夜叉の寝顔をそこはかとなく見つめていた

 

 

(犬夜叉って黙っていれば凄いかっこいい・・・というか綺麗よね・・・)

 

若々しい青年特有の肌

今の犬夜叉は誰が見ても人間そのものではあるが

どこか気位の高さを感じるのは

大妖怪の父の血か

はたまた、それは母の血か

 

いずれにしても

静かに寝入る犬夜叉は

まるでギリシャの彫刻、芸術品を見るかのように美しい

 

 

やがて、かごめは更に視線を下へと移す

 

 

(すごい胸板・・・脂肪なんてないんじゃない?)

 

 

思わず、かごめは人差し指で胸板を押してみる

 

 

(うわ・・・、固・・・!)

 

 

もう一度

今度は更に力を込めて押してみる

 

本人があまりにも気持ちよく寝入っていることをいいことに

ついつい自分の行為もエスカレートしていく

 

 

(ひゃー!爪立てても半妖の時と変わらないんじゃない?)

 

 

「楽しいか?」

「え!」

 

 

思わず手を引く

 

 

「何、人のこと突ついてんだよ?」

「ごめん、起こすつもりじゃなかったの!」

 

 

慌てふためくかごめ

まさか、

人の体の固さを確かめていた、などと

あまりにも情けないというか

馬鹿げていると思うと

つい口篭ってしまう

 

 

「まだ時間もあるし、もう少し寝ましょう?」

「・・・・・」

「犬夜叉?」

「そうだな、まだ朝には早い・・・か」

 

 

そういうと犬夜叉はベッドに横たえながらも

大きく背伸びをする

 

どうやら犬夜叉には、

かごめのベッドは窮屈か

広げた手足がベッドからはみ出す

 

 

「寒くないの?」

「あ?」

「だって、布団まで蹴飛ばして・・・」

「今夜はそんなに寒くねぇだろ?それにここは箱みたいな部屋だし」

 

 

確かに多少肌蹴てもさほど寒さも感じない

むしろ、羞恥心のほうが先立つかも

 

そんなことを考えながらもついつい目で追ってしまう

見慣れた筈の男の、いや犬夜叉の体

 

その全貌が暗い部屋でも

かごめの目の前にさらりと曝け出される

 

 

(ほんと・・・、引き締まった体・・・よね・・・)

 

 

「そんなに俺の体が珍しいか?」

「え?あ!」

 

 

かごめの視線に犬夜叉は気づいていた

 

ついつい目で追ってしまっていたかごめの視線

 

 

「かごめ」

「ん?」

「そんな指一本なんかじゃなくって、・・・・ほら・・・」

「あ!」

 

 

犬夜叉はかごめの腕ごと布団から引き出すと

有無を言わさず、かごめの手を己の体に押し付けた

 

 

「今更何遠慮してんだよ・・・」

「あ、気持ちよく寝てたから・・・ごめん・・・」

「じゃ、もっと気持ちよく・・・してくれよ・・・」

「え?あ!」

 

 

犬夜叉はかごめの顎を片手で引き寄せ

口付ける

 

口内にと押し入る舌の感触

それはかごめの舌を絡め採る仕草

 

 

「・・・・ん・・・」

 

 

かごめの口を捕らえると

その手は、そのまま

かごめのふくよかな乳房へと移る

 

 

「んん・・・!」

 

 

微かに顔を動かすも

犬夜叉の口はかごめの唇を離すことはない

 

犬夜叉は掴んでいたかごめの手を

自分の下のほうへと誘う

 

 

「・・・・あ!」

 

 

思わず上げてしまった声

離れた唇

 

 

犬夜叉はふとほくそ笑む

 

 

「言ったろ?もっと気持ちよくしてくれって・・・」

「・・・・う、うん・・・」

 

 

犬夜叉は自身をかごめの手に委ねる

 

かごめは熱くなりつつある

強張ってきた犬夜叉のその一部を

不慣れな手つきで上下に動かす

 

おそるおそる、かごめが尋ねる

 

 

「こんな・・・感じ?」

「もっとしっかり握って・・・」

 

 

そういうと犬夜叉は自身を掴んでいる手の上から

己の手を重ね、

かごめの力を他所に扱き始める

 

さすがに二人横たえたままで

この行為はきつい

 

かごめは体制を立て直そうと

肩に毛布をかけたまま

上半身を起こし

犬夜叉の手と共にますます強張りゆく自身を扱く

 

 

ふと見下ろすと

さっきまで見とれていた

伏せた長い睫毛が

悦の込みあがっているのを感じてか

固く瞼を伏せている

 

 

そんな仕草や感じの違いを思っているうちに

犬夜叉は掴んでいたかごめの手を徐に離すと

上半身を起こしていたかごめの体をそのまま押し倒した

 

 

「あん!」

 

 

咄嗟に捕らわれたかごめの体

犬夜叉はかごめの膝と膝の間に割り込み

その中心へと顔を埋めた

 

 

「あぁ!!」

 

 

寝る前までの行為が再び行なわれる

そのときにも感じた

あの感覚

 

 

「あ!いや!い、犬・・・あぁ!」

 

 

再び潤い帯びるかごめの中心

犬夜叉の自身も

先を僅かに濡らし

中心の花弁の奥へ参らんとしている

 

かごめの歓喜の声が高まるのを犬夜叉が見計らう

 

すると

犬夜叉はかごめのベッドから降り

脇へと立ち上がった

 

一瞬自分の体から犬夜叉の手が離れたことを知ったかごめが振り返る

 

だが、その後を考えるゆとりはかごめには与えられなかった

 

犬夜叉はかごめの体を裏返し

ベッドを横断させるかのように

四つん這いへと形を変えると

そのまま勢いよく我が自身を差し込んだ

 

 

「あぁぁ!!」

 

 

ベッドの高さでかごめの腰元が

ちょうど立ち上がった犬夜叉の自身の位置と

いい具合に合ってしまった

 

犬夜叉はかごめの両足を更に広げ

更に強く腰を押し付ける

 

 

「あぅ・・・!あ、ああ!」

「・・・ふ・・・ぅ・・・・!」

 

 

剥き出しになったかごめの中心は

犬夜叉の自身によって

子宮まで貫きそうな勢いで弾かれ

激しく進退を繰り返す

 

 

「あ!いや!こ、壊れ・・・いやぁ!」

「痛い・・・か?」

 

 

休むことなく動くもかごめの様子に気遣う

だが、かごめの表情は込みあがってくる悦に悶え

そのまま快楽の奥へと落ちていくのを恐れてかの言葉

 

それを知った犬夜叉はふと笑うと

かごめの両腕を後ろから掴み

そのまま上半身を起こさせた

 

 

「あ!いや!あん・・・!」

「もっと・・・してやる・・・!」

 

 

抱き起こされた上半身

犬夜叉はかごめの乳房を鷲掴みにして捕らえ

もう片手をかごめの濡れた花弁の核へと伸ばす

 

 

「いや!やぁ!」

「『いや』じゃ・・・ないだ・・・ろ?」

 

 

下から激しく突き上げられ

その核まで指で弄ばれる

上半身を捕まえた手

その指先は固くなった蕾を遠慮なく

摘み上げ、核と同じように弄ばれる

 

 

「やぁ!いや!もう・・・だ・・・!」

「すげ・・・俺のを吸いつけてるぜ・・・」

「や!いや!ああぁ・・・!」

 

 

かごめが頂点に達することを

自身の締め付けで知る犬夜叉も

既に己も同じように頂点を目指していたことを察すると

再び、かごめの体をベッドに戻し

捕まえた腰を激しく振った

 

 

「あ!あぁ!・・・駄目・・・い、いっちゃぅ・・・ぅ!」

「俺・・・も・・・・」

「い、犬夜叉ぁぁぁ!」

「かご・・・めぇ!」

 

 

犬夜叉の肉体から零れた液が

かごめの汗ばむ背の汗の中にと弾け飛ぶ

 

そのまま、犬夜叉はかごめの体をぐっと抱きしめ、

二人の体液を汗ばんだ背の上にと雪崩れ込む

 

そして、再び気を失うかのように

かごめは目を閉じてしまった

 

犬夜叉はかごめの体をベッドの元の位置にと

そっと真綿を包み込むように

大事に、大事にと抱きかかえ

寝かしつける

 

そして、それは当たり前のように

いつもの位置

かごめの頭の下に腕を置き

己もまた瞼を閉じる

 

 

 

 

 

そのまま夜明けまで

二人

夢の中たゆとう

朔の蜜月

 

 

 

 

 

【後書】

久しぶりに書きました小説。短編でしたがいかがだったでしょうか?

一応、私的には甘く仕上げたつもりでしたが^^;

今年1月2月はイベント等に追われ

思うように時間が取れなかったせいで朔仕様小説が書けず、自分でも「小説書きたいよ〜!!」病に

魘されておりました(本当か?)

また来月もお会いできたら・・・、というか自分が書けたら書きたいと思います。

ここまで、読んでくださってありがとうございました。

 

                                   はなまま