■7月朔夜 特別編 ―悋 情―          2009年7月22日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、犬夜叉一行が雨に濡れて

楓の村に帰ってきたのが

そもそも、ことの発端と言ってもいい

 

そして、そういうときに限って

梅雨、という恵みの雨だと浮き足立った村人達

 

 

「田んぼに水が入る。これで一安心じゃ」

「楓様も一杯やってけろ!」

 

 

楓の小屋は村人で溢れかえり賑わっている

 

弥勒はもちろん、珊瑚や七宝も

ご相伴に与るといった具合

 

だが、ここに姿のないのが二人

 

 

雨とはいえ、朔の夜

 

犬夜叉とかごめは人の寄り付かない山間に程近い小屋にいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ったく、たかが雨ぐれぇで・・・なぁ、かごめ」

「・・・・」

「?」

「・・・ふぅ・・・」

「かごめ?どうした?」

 

 

問いはするものの

かごめの気持ちもわからないでもない

 

雨に濡れたかごめが楓から借りた着替えは巫女装束

 

年老いた村人はその姿に桔梗を重ねる

 

 

「桔梗様じゃあ!」

「生まれ変わりのようじゃ!」

「桔梗様が恵みの雨を下さったのじゃ!」

 

 

桔梗は死んだ

五十年も昔の話だ

雨だって降ることは珍しいことではない

 

 

なのに、ただ・・・

 

ただ、かごめが桔梗に似ている、と口々に騒がれては

当の本人も居た堪れないのは必然

 

わかってはいても・・・

 

 

 

 

「あんな連中の言うことなんか気にすることねぇって。かごめ」

 

黒髪の少年、犬夜叉は小屋の天井を見上げ

そう語る

 

だが、応えは何もない

 

 

「かごめ?」

 

 

ずっと自分に背を向けたまま

犬夜叉と会話することのないかごめを怪訝に思い

徐に近づいた

 

 

・・・・・げ!

 

 

桔梗の生まれ変わりだと囃し立てる村人と

朔を知られたくない犬夜叉の二人は

あえて楓の小屋から抜け出した

 

だが、村人は膳のひとつもやらんでどうする、と

さも供物を捧げるかのように

普段には目にしない村人にとってのご馳走を

この小屋まで運んでいたのだった

 

それはそれでいい

むしろ夕食に在りつけるだけありがたい

 

だが、そこに所謂『御酒』が添えられていたことまでは気が回らなかった

 

そして、かごめはそれを口にしていた・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「か、かご・・・め?」

 

肩を掴み、振り向かせる

頬をほんのりと赤らめた酒の匂い漂わす

巫女装束の少女が目を据わらせて

犬夜叉を睨み付ける

 

「お、おい・・・」

「何よ?」

「飲んだのか?・・・それ・・・」

「だから、なんだってのよ?」

「か・・・かごめ・・・!」

 

正直、酒のうまいまずい、良し悪し等とは犬夜叉にはわからない

それはかごめも同じことだったろう

 

しかし、その酒を口にするには

それなりの理由があったかと考える

 

 

(あいつらか!)

 

(村の連中が桔梗、桔梗っていうから・・・!)

 

 

「かごめ・・・。周りの連中がどう言おうがお前は桔梗なんかじゃねぇ」

「・・・・」

「だから、そんな飲み慣れねぇもんなんか・・・」

 

 

「飲むんじゃねぇ」

そういいながら、そっと抱きしめる

 

 

 

 

 

酒の甘い香りを漂わせた

か細い体

柔らかい体

 

 

沸き起こる欲情

腰元がじんわりと熱くなるのを感じる

 

 

「かごめ・・・」

 

 

そういうと慣れた手つきで白衣の胸元へと手を滑り込ませる

先に雨に濡れたせいか

下着も全て取り払われ

双丘の谷間が容易に目にと触れ

さらに肉欲の誘惑へと駆られる

 

犬夜叉はかごめの耳元で囁いた

「しよう」

ただただ優しく囁いた

 

普段なら、朔の夜であっても

言葉で優しく懐柔したりすることなどなかったのに・・・

 

 

しかし、それが結果として

かごめの逆鱗に触れたことには違いない

 

 

 

 

 

 

「なんで今夜に限って、そんな風に優しくいうわけ?」

「え?」

 

 

間違いなくかごめは怒っている

 

酒の力を借りたかごめは犬夜叉の前にと立ちふさがる

 

床に腰を下ろしたまま

かごめを見上げる犬夜叉は

どうしたものか迷いを覚える

 

 

「いつもだったら、そんなこと言わないじゃない?」

「・・・いや・・・その・・・」

「否応無しに押し倒したりしたりして・・・」

 

 

否めない・・・

 

 

「なのに、いやに優しく誘うんじゃない?どういうことかしら?」

「いや、俺は別に・・・」

「今の私が桔梗に似てるから?皆にそう言われて、その気になった?」

「なんだ!それ!」

「桔梗を思い出して、したくなったの?そうなの?!」

「か、かごめーー!!!」

 

 

かごめは犬夜叉の上にどっかりと腰を下ろし

緋鼠の衣どころか、その中まで大きく開き

引き締まった胸板に手を宛がった

 

脇に転がる酒の入っていた徳利が惨めに横たえている

 

 

(全部、飲んだのか!?)

 

 

「か、かご・・・め?!」

「したいんでしょ?」

「・・・・」

「いいわ。してあげるわよ?」

「か・・・かご・・・め・・・!」

 

 

肌蹴た胸元の両にある小さな突起

 

今までだったら、そこは犬夜叉が

かごめを悦にと昇らせるために攻め立ててきた部位

 

かごめは、ふっとほくそ笑むと

そこへと唇を落とした

 

 

「・・・くは!」

 

 

慣れぬ感覚

 

 

「男の人でも・・・感じる・・・の?」

「ば、馬鹿言ってんじゃ・・・ねぇ・・・!」

「そう」

 

 

そういうともう一度、突起へと唇を落とす

今度はそこを思い切り吸い付いた

 

空いた片手で、未開のもう片方の蕾を軽く捻り上げる

 

 

「ああ!」

 

 

その声に聞き耳を立てる

どんな感覚が彼の中で駆け巡っているのかなど

想像も出来はしないが・・・

 

 

やがて、かごめはそこに軽く歯を立てた

 

 

「や!やめ!やめろ!かごめ!」

 

 

ついに犬夜叉はかごめの肩を掴み、己の体から引き剥がし

上半身を起こした

 

半妖の肉体とは違い、

体感もまた異なる

 

それは鋭敏になる、といったほうが正しいかもしれない

 

 

「な、何馬鹿なことやってんだ!」

「・・・・・」

「おめぇを桔梗だなんて、思っても考えてもいねぇ!」

「・・・・・」

「だから・・・」

 

 

だが、かごめはその言葉を聞き入れることはなかった

 

 

それもそのはず

 

犬夜叉の股間に手を伸ばし

しっかりと反応している犬夜叉自身を握り締めているからだ

 

 

「じゃ、これは何?」

「・・・・!」

「感じてるんじゃないの」

「こ、これはお、お前が・・・!」

「あたしは服も脱いでないわ!触らせてもいないのよ?」

「かごめ!」

「なのに、こんな風に反応するなんてどういうつもり?!」

 

 

か弱き女の戯言など男の腕ひとつでどうとでもなる

 

だが、かごめに手を上げることなど出来はしない

ありえない

 

酒に酔ったとは言え、

かごめの悋気にどう対応したものか

 

そう思考を巡らす間も

かごめの手は止まらない

 

 

今度は犬夜叉の腰紐を解き始め

隆々とそそり立った逸物をしっかりと握り締め

上下にと扱き始めた

 

 

「あ、・・・ば、かご・・・あ・・・!」

 

 

ぐっと握り締めた逸物に時折

口にと含み

軽く歯を立てる

 

独特の張り詰めた肉の感触が

臨界点にと近づいていることを物語る

 

 

「か・・・かごめ・・・だ、駄目・・・だ・・・もう・・・い、いき・・・!」

「もう・・・、いきそう?」

「・・・ああ・・・い、いきそうだ・・・かご・・・」

「そう・・・」

 

 

先端に透明な蜜を溢れさせ

やがて噴出すはずの犬夜叉の欲情の塊りを

かごめは、その瞬間を見計らい

殊更、手に力を込め

 

 

 

流れを押し留(とど)めた・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【後書】

 

今回、朔の作品はS様より、リクエストを頂戴いたしました^^

 

お酒に酔って、桔梗への嫉妬に犬夜叉を『攻め』るかごちゃん・・・という設定。

さて、どこまで書けるかな〜。

 

S様の好みに沿うことを祈りつつ・・・

ちなみにタイトルは造語ですので、検索しても出てこないと思いますが

漢字の意味から、意を読み取っていただければ幸いです。

 

でもって、相変わらず、続きます(笑)

だって書いてたら、どんどん長くなっちゃって^^;