■8月朔夜 特別編 ― 悋 情 2 ―         2009年8月20日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

酒の勢いがそこにあったとはいえ

今の彼女にかける言葉はみつからなかった

 

腰元の熱とは別に

普段には見ることどころか

知ることのなかった一面を今の自分は

ただ受け止めるしかできることがなかったから

 

 

かごめは楓に結ってもらった元結を静かに解し

犬夜叉の目を塞ぐ

 

基(もとい)、朔の夜

星明りがあるとはいえ

やはり小屋の中は闇に近しい

 

だが、そこをあえて塞ぐには

彼女なりの理由もあることだろうとだけ

ただただ己の中のかごめの真意を

今の行動で汲み取ることでしか

成すべき事はなかった

 

もちろん、かごめが犬夜叉に対して

戒めを施したのは目を塞ぐことだけに留まることはなかったが・・・

 

 

 

塞がれた目は役に立たない

耳だけが状況を知る唯一の手段

 

腰元から帯を抜かれる音

緋鼠の衣から繻子ずれの音が肌を通して感じる

 

 

「かごめ?」

「・・・・」

 

 

黙って意のままにされているうち

やがて、己の腕が後ろでにとされると

軋む音を立てながら

両手を括り付けられる

 

 

「鉄砕牙は脇にちゃんと置いておくから・・・」

「かごめ・・・」

 

 

本来の彼なら、その程度の戒めなど

容易く解くことが出来たであろう

 

いっそ、このまま勢いに上し

全てを薙ぎ払い

逆にかごめを押し倒すことも容易いことだっただろう

 

しかし

先のかごめを思うと・・・

 

元結で塞がれた見えない目を

そっと瞼を閉じることだけだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前身ごろは開かれていた

 

鼻に纏わりつくかごめの髪の香りが

如何に距離が間近にあるかを知らしめる

 

吐精を遮られた逸物は更に怒張し

犬夜叉の息遣いを荒立てる

 

張り詰めた肉棒を握り締めながらも

鈴口間際の根元を硬く掴まれては

果てることもままならない

 

そして・・・

 

多分、かごめはそれを見ている・・・・

 

そう感じれば、尚のこと

これほどまでに受身にと扱われたことなどなかった

犬夜叉の胸の中に奇妙な快楽さえ禁じえない

 

 

黙ったまま行為は続いた

 

首筋から胸板

乳首から腹筋へと

降り注ぐ接吻

 

柔らかい唇の甘い感触

時折感じる強い吸い込み

 

その都度、つい声を漏らすは犬夜叉のみ

 

 

「あ・・・は・・・ぁ・・・」

「・・・感じてる?」

「・・・・・」

「ねぇ・・・犬夜叉・・・・」

「い、・・・言わせる気か・・・よ・・・ぁ・・・!」

「・・・・・」

 

 

再び、隆々といきり立つ逸物を握り締め

強く扱き始める

 

接吻を繰り返していた唇は

やがて唾液を多く含ませた舌触りへとすり替わる

 

 

「はぁ・・・あ・・・!」

 

 

ふと、つい今しがたまで己の身を這っていた舌の感触が消えうせる

 

 

「!!!!!」

 

 

唾液で湿った細い指先が

逸物の真下を掻い潜り

汗ばんだ陰嚢の最奥の窄まりへと向かう

 

 

「か、かごめ!!」

 

 

応えはない

 

ただ、指の動きがゆっくりと

窄まりの奥の皺へと向かっていく

 

それでも爪で傷つかぬよう

どこか優しい感触を思わせるのは

本来のかごめの優しさ故か

 

いや、しかし

指先は無言のまま

ゆっくりと窄まりの奥へと差し込まれていく

 

 

「あっく・・・!・・・あ・・・はぁ!!!」

 

 

逸物を握り締め

更にその後ろまで攻めを落とし込む

 

酒の勢いに流されたとは言え

普段のかごめなら到底考えられない

 

 

目を覆われたまま犬夜叉は問う

 

 

「かご・・・め・・・、どうし・・て・・・」

「・・・・」

「かご・・・め・・・?」

 

 

しばしの沈黙の後

やがて耳に入る愛しい声音

 

 

「犬夜叉は・・・桔梗とこうしたかった?」

「は?」

「本当は桔梗とこうしたかったの?」

「何言って・・・」

「桔梗と似ている私だから?だからなの?!」

 

 

絞り上げた声に涙交じりを感じる言葉

それと同時に差し込んだ指を激しく扱き始める

 

 

正直、かごめの気が済むのなら・・・

 

そう思い、目隠しや後ろ手も黙って受け入れた

だが、もう我慢できない

 

どうすれば、酔ったとはいえ自分の思いを伝えることが出来るのか

どういえば、かごめはかごめだと

この世に抱きたい女はお前一人だと伝えることができるのか

 

(くそ!こんな緩い紐なんざ・・・!)

 

腕に力を入れ、紐を引き千切り

目隠しを外す

 

朔の夜、黒い瞳がようやくかごめの全貌を映し出す

 

 

「・・・・!!」

 

 

一筋の涙

揺れる漆黒の瞳

 

例え、その姿は巫女の衣装を纏っていても

紛れもない愛する女、かごめ

 

 

「かごめ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【後書】

 

うーん・・・、今回で終わるかとおもったお話。またまた続いてしまいました・・・orz

ここで、かごちゃんがそんなマニアックな行為を知っているのか?とか

できるのか?とかいう突っ込みは無しでお願いいたします^^;

 

それでも、加減はしたつもり・・・てか、ちょっとエロ低くてすみません・・・

次回は・・・

 

ここまでお付き合いくださってありがとうございます。

次回、楽しみにしていただけたなら幸いです。