2006.10.16

 

 

 

 

 

 

 

その夜は、蛍の明かりが美しく、現代から来たかごめにとって、

それは、見たことのない、幻想的な景色だった。

 

 

「うわぁ・・・、こんなにきれいなの?蛍って・・・。」

 

瞳を大きく見開き、身を乗り出しながら、

田んぼの畦道や水路へと顔を覗かせた。

 

 

「あんまり、よそ見して歩っていると田んぼに落ちるぞ。」

 

 

犬夜叉自身は、蛍など、まるで興味を示さなかった。

 

彼にとっては、「蛍」など光を放つただの虫に過ぎない。

 

 

(たかが、虫に何がそんなに珍しいんだか・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楓の使いで、隣の村へと出向いた二人。

 

その帰り道、もうすぐ楓の住む小屋が見えてきそうなほどの

田んぼ脇で見つけた『蛍』にすっかり魅入られたかごめは、

その帰りを遅くしていた。

 

 

「遅くなるぞ。」

 

「うん、そうだけど・・・。」

 

 

もう少し、見ていたい・・・と、行く先々で足を止め、すっかり蛍に夢中になっているかごめを見て、

「しょうがねえなぁ・・・」と洩らすも、そのかごめの表情に心なしか、自分の顔も綻んだ。

 

 

(ま、俺と一緒だし、後は帰るだけだし。・・・もう少し付き合うか・・・)

 

 

 

 

 

 

「かごめ。」

 

「ん?なあに?」

 

「楓ばばあの小屋から少し離れるが、ここよりいい水場があるぜ。」

 

「水場?」

 

「蛍は水に集まるんだよ。・・・ここより、もっといるかもしんねぇぞ?」

 

「行ってもいいの?」

 

「見てぇんだろ?蛍。」

 

 

本当に見たいのは、かごめの喜んだ顔。

だが、それを正面切っていう勇気はない。

 

 

蛍には興味はないが、それを見て喜ぶかごめの笑顔は、もっと見たい・・・

 

 

犬夜叉は、照れを押し隠しながらも、

「こっちだ」とぶっきら棒にかごめの手を引き、

その場所へと連れ出した。

 

 

 

 

辺りは、蛍の光だけで、真っ暗。

犬夜叉に手を引かれなければ、慣れた道のりとて足元が覚束ない。

 

 

「転ぶなよ。」

 

「うん。」

 

かごめは、上々の気分で、犬夜叉に追いつこうと足を速めた。

 

 

(なんか、うれしいな・・・)

 

(こうして、夜道を二人で歩くのって、なかなかないもの・・・)

 

 

蛍の飛び交う中、二人は、楓の小屋までの小道から少しはずれ、

奥にある水場へと手を取り合い、入り込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

腰より大きな草が蔓延る道なき道を入っていく。

 

獣道はあるものの、夜の夜中、かごめにとっては歩くのには堪えたが、

せっかく、犬夜叉が手を引いて、ここまでつれてきてくれたのだから・・・と黙って道を突き進んだ。

 

「大丈夫か?」

 

「・・・大丈夫・・・よ。」

 

笑顔で犬夜叉に応える。

 

 

(無理させたか・・・?)

 

 

かごめには、歩くには少々きついか・・・と、

感じた犬夜叉は、「ほら・・・」と、かごめをいつものようにひょいと背負うと、

軽く跳躍し、茂みを一瞬のうちに飛び越えた。

 

(気遣ってくれたんだ・・・)

 

 

 

二人きりで歩くのさえ、かごめにとっては嬉しいことながら、

さらに、あの我儘で「ムード」のひとつも持ち合わせない彼。

 

けれど、「蛍をもっと見せてやる」とか「大丈夫か」などど、

今までにはなかった思いやりがひしひしと伝わってくる今。

 

 

こんなにも自分に優しく気遣ってくれている・・・。

 

かごめにとって、その夜はきっと忘れられない思い出になるだろうと

感じる思いでいっぱいだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

辿りついたそこは、林に囲まれた、月明かりに水面を照らす小さな池だった。

 

淵に彩るかのように、薄緑色の蛍が無数に飛び交っている。

 

 

「うわぁぁぁ・・・・・!」

 

感嘆の声以外、何一つ思いつかない、その光。

 

「今日は、結構出てるな。」

 

「・・・・・・・。」

 

 

返事のないかごめの顔をちらっと覗きこむ。

かごめは、無数に飛び交い、池さえ浮かび上がらせた光の世界にすっかり魅入られていた。

 

 

「・・・こんなの見たこと・・・ない・・・!」

 

「おめぇんとこは夜も明るいもんな。」

 

「・・・こんなの現代【あっち】では見れないよ・・・。」

 

 

しばし、二人は、その風景を黙って見入っていた。

 

 

時折、かごめのほうへと近づいては、ふらり・・・と去っていく蛍。

 

その光を目で追い、喜ぶかごめと、そんなかごめをじっと見つめる犬夜叉と・・・。

 

 

 

 

 

 

 

犬夜叉は、いつまでも蛍を見続け、喜ぶかごめの笑顔を見ているうちに

胸のうちにある熱い思いが膨らんできた。

 

 

 

蛍ばかりに気を取られているのが気に入らないわけではないが・・・

 

 

光に浮かぶかごめの体の美しさが今頃になって、

妙に艶かしく感じてくる。

 

 

犬夜叉は、かごめの手首を掴むと、ぐいっとその体を引き寄せ、

顎に手を掛け、自分へと向かせた。

 

 

「あ・・・!」

 

突然、現実へと引き戻されるかごめ。

だが、その行為もまた夢心地であることは、

幾度かの交わりの中で知った「悦び」。

 

 

「蛍ばかり見てんなよ・・・。」

 

かごめの言葉を待たずして、

慣れたように唇を重ね、さらに強く吸い付いてきた。

 

 

「んんん・・・。」

 

 

薄目の向こうでは、そ知らぬ顔で飛び交う蛍。

 

犬夜叉は、かごめの体を傍にあった木へと掴んだ手首をそのままに押し付けた。

 

 

もう片方の手がかごめの胸を服の上から、そっとのせる。

 

 

(・・・あ!)

 

一瞬、体が反り返るようにぴくりと仰け反った。

 

犬夜叉は、唇を解放すると、そのまま首筋を這うように下へ下へと舐めすべり落とす。

 

 

「ぁ・・・。」

 

頬が高揚し、ほんのりと熱を帯びてきたのが、その息遣いでわかった。

 

 

「かごめ・・・、欲しい・・・。」

 

「だめ・・・よ。・・・こんなところで・・・。」

 

 

手がスカートの中へと差し込まれ、太ももの内側をゆっくりとなぞる。

 

そのまま、もう一度、艶やかな唇に自分の舌を押し込んだ。

 

 

 

 

「んんん・・・っ!」

 

 

制服の上着の裾から、手をいれ、上へと弄っていく。

 

「ん・・・!ん!」

 

ぴたりと張り付いたかごめの白い下着の上から頂点を見つけ出すと、

指の腹で、軽くなぞった。

 

「・・・・あ!」

 

離れた唇から漏れてくる静かな喘ぎ。

 

 

 

 

 

犬夜叉の息遣いも少しずつ、少しずつ荒くなって、

かごめの耳元で吐く息が降りかかってきた。

 

 

「・・・いい、か?」

 

スカートに忍ばせた手が太ももから中心へと変わる。

 

「・・・やだ・・・。ここ、楓ばあちゃんの小屋の傍・・・じゃない・・・。」

 

「・・・・・聞こえねぇよ。」

 

耳元で、熱い息を吹きかけ、その口でもう一度、

かごめの唇を潤す。

 

 

 

 

かごめの言いたいことはわかっているが・・・。

 

 

だが、抑えられなくなっていた自分もそこにいる。

 

 

犬夜叉は、塞いでいた唇を解放すると、

ぽってりと濡れた唇に指を当てた。

 

 

 

闇夜に光る金の瞳がまっすぐにかごめを見つめる。

かごめも黙って、その瞳を見つめ返した。

 

 

黒い瞳に小さな蛍の飛び交う光が反射し、

潤んだ様子が手に取るようにわかる。

 

 

犬夜叉は、あてた指をかごめの口の中に静かに入れた。

 

 

「あ・・・、んんん・・!」

 

 

かごめの口の中で、長い爪を立てぬよう、

だが、その指を内面の壁を拭うよう、中で動かした。

 

 

「あ!・・・・はぁ・・・!んん・・。」

 

 

スカートの中では、既にかごめの蜜の壷を探り当てた手が

花弁を押し入り、核へとねじ込んでいた。

 

 

木に押し付けられ、反ることも屈むことも許されない体勢のまま、

上と下の『口』を同じように弄られる。

 

 

息苦しさが増し、かごめは思わず、口に入れられた指ごと、

舌を巻きつけながら、息を吸い込んだ。

 

それは、まるで赤子が母親の指先に吸い付くように、

きゅっと喉のほうまで引く感触。

 

 

その仕草に見入り、さらに金の瞳を揺らす犬夜叉は、

すっと指を引き抜くと、何を思いついたのか、
      かごめの項に手を当て、手前へと引き寄せた。

 

 

「・・・・なぁ、・・・かごめ。」

 

指から、開放されつつも、口角に少し唾液を残した口元を犬夜叉の手がそっと拭う。

かごめは、何か言いたげな、その視線を見つめた。

 

「・・・何・・・?」

 

蛍の光の中ではあったが、珍しく犬夜叉の頬が少し高揚しているのが見て取れる。

 

「・・・どうしたの?」

 

顔を覗きこむかごめの視線を逸らすように、軽く俯く犬夜叉に尋ねた。

 

犬夜叉は、黙ってかごめの手を取ると、自分の腰元へと押し付けた。

 

「・・・!」

 

慣れてはきたが、まだまだ不可思議なその存在。

 

袴の上からでも、その雄雄しさがはっきりと自己主張しているのが、

添えられ宛がわれた手にはっきりと感じる。

 

「・・・あ!」

 

思わず、手を引こうと体ごと木の幹へと体を引くも

捕まれた腕は、犬夜叉の力に適うはずもなく、

ただ顔を逸らしたに留まった。

 

 

犬夜叉は更に力を込め、自身に当てた手ごと、かごめの体に近づいた。

 

同じく項を掴んだ手にも力が入る。

 

 

「・・・してくれ・・・。」

 

「・・・え?」

 

片方の目で犬夜叉を見る。

 

「・・・して・・・くれ・・・。」

 

そういうと、かごめの返事を待つことなく、

掴んだ項を自分の腰のほうへと押し下げた。

 

 

スカートの中に入れていた手を抜くと、

そのまま、自分の腰紐を片手で器用に解き、

襦袢の袷から、隆々と自己主張する自身を曝け出した。

 

 

(ええええええ!)

 

 

そう思ったときには、既に目と鼻の先にそれはあった。

 

頭を上げようにも、後ろに添えられた手から逃れられる術はない。

 

 

(・・・し、仕方が・・・わかんない!)

 

 

動揺を隠せず、目尻に涙が滲んできた。

あまり、嗅ぎなれない匂いが鼻につく。

 

 

「・・・頼むから・・・。」

 

 

(どうやれば・・・!)

 

 

「・・・して・・・、くれ・・・。」

 

 

珍しい犬夜叉の懇願。

 

目先のそれは、先が少し濡れぼそり、高々と首を持ち上げ、

かごめの口を待ち構えている。

 

 

かごめは、躊躇したものの、常に自分の体にそうしてくれている事を思い出すと、

意を決したように、犬夜叉の自身に手を添え、そっと口へと運んだ。

 

 

が、すぐ触れたそれから、口を離した。

 

(知らないのよ!・・・・やり方が!)
      

犬夜叉が押さえつけた項に力が入るのがわかる。

かごめは一瞬、固唾を飲み込んだものの、再び自身を口にする。

 

初めて正面に見据えた、男の象徴を思い出しながら、どうすればいいかと思慮を張り巡らす。

 

(・・・・まずは、やることよ!)

 

意を決したかごめ。自身を持つ手に力を込める。

 

 

 

 

舌で、まず先端を軽くなぞる。

 

「・・・あぁ、・・・かご・・・め・・・・。」

 

かごめの頭上で熱い吐息を洩らす犬夜叉。

 

そのまま、深い溝というべきか、襞の部分をゆっくりと一回り、二回りと嘗め回す。

 

(・・・こんな味すんの!)

 

「はぁぁ・・・・、あ・・・・。」

 

ただ、悦に浸る頭上の犬夜叉。

 

 

かごめは、見よう見真似で唇に力を込め、必死で吸い付き、

のぜる感触を堪えながら、顔を前後にと動かし始めた。

 

「はぁ・・・!」

 

犬夜叉から、歓喜まじりの吐息が漏れ出した。

 

かごめは、息衝きをするべく、一瞬口から、自身を離した。

 

「・・・・・。」

 

そして、再び、先端部を一瞬、舌でなぞると、かごめは更に奥へと

ぐぐっと自分の口へ押し込んだ。

 

 

乱れた衣服をそのままに犬夜叉の前で跪き、がっしりとした固い太ももに手を掛け、

ゆっくりと、ゆっくりと・・・、自身を奥まで口に入れていく。

 

 

(こんなに、・・・太いんだ・・・)

 

欠伸をしたってこんなに開けることない・・・

 

 

というくらいに必死に開けた口。

 

 

「んんん・・・。うぐ・・・。」

 

 

口に頬張るのが精一杯のかごめの頭に犬夜叉の手が添えられた。

 

 

「んんん・・・!」

 

 

犬夜叉は添えた手をそのままに、顔を上げながら、自ら腰を揺らし始めた。

 

 

「あ・・・!あ・・・、はぁ・・・。」

 

 

耳に入ってくる犬夜叉の喘ぎ。

 

垂らした袴の腰紐が宙に揺れ、擦れる音。

 

(んん、・・・ん、ん、ん・・・!)

 

だが、かごめはそれどころではない。

 

自分の息苦しさと開けた口元、顎の疲れを感じ始めた。

 

 

「んん・・・!ん、ん・・・!」

 

 

息継ぎを求め、思わず強く吸い込み、唇に力を込めた。

 

 

「ああ!・・・くっ・・・!」

 

だが、犬夜叉の喘ぎが激しく荒くなるばかりで、自分は思うように空気が吸えない。

鼻でなんとか息をするものの、鼻先にある犬夜叉の茂みが鼻を擽った。

 

 

(・・・苦しい・・・!い、息が・・・・!)

 

 

手に捕まれた頭が容易に離せず、もがいてみたが、添えられた手は一向に

かごめの頭を離さない。

 

 

(このままじゃ、・・・のぜるかも・・・!)

 

 

 

揺らし続ける犬夜叉の腰。

 

息継ぎを求め、もがくかごめ。

 

 

 

「ああ!・・・くっ・・・!」

 

「んん・・・!ん、ん・・・!んんん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(・・・・ちゃーん、かごめちゃーん!)

 

(かごめ様―!・・・犬夜叉ー!)

 

 

 

弥勒様たちの声!

 

 

「んんん!」

「あがっ!!!!」

 

 

 

 

 

 

思わず、その声にかごめは力を入れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ!噛んじゃった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぅぅ・・うぅ・・・!」

 

初めて聞いた犬夜叉の呻き声。

その声と共に、目の前で屈みこんできた犬夜叉の体。

 

かごめは、その様子に驚き、屈みこむ犬夜叉の背に手を当て、

顔を覗き込んだ。

 

 

「大丈夫?!犬夜叉!!」

 

「っく・・く・・!」

 

 

だが、顔を伏せているせいか、その表情は見えなかった。

が、悶絶する声が微かに聞こえてくる。

 

 

 

「犬夜叉!ごめん!ほんっとうにごめん!」

 

「ぁぁぁ・・・!」

 

 

 

犬夜叉は股を抱え、内股でその場に屈みこんで固まって動かない。

 

 

だが、がさがさと茂みをかき分け、近づく足音。

 

 

かごめはあせった。

 

(こんなところ、見られたらヤバいって!)

 

 

林の向こうから、うっすらと松明の明かりがぼやけて見えてきた。

 

 

 

 

「かごめ様ー!」

 

 

 

弥勒の声が近づいてくる。

 

「かごめちゃーん!」

 

 

そこに珊瑚も一緒だ。

 

 

 

 

 

 

 

「犬夜叉!起きてよ!みんなが来るわ!ねぇってば!」

 

「・・・・・んなこといってる・・・場合・・・じゃ・・・ねぇ・・・!」

 

 

内股で股を抱えたまま、地面に突っ伏す犬夜叉は、

それどころではない!・・・と必死にかごめに訴えた。

 

が、かごめの視線は近づく弥勒達のほうを見ているばかりで、

今の犬夜叉の状況を把握するほどの余裕は皆無だ。

 

 

「かごめ様ーー!」

 

「かごめちゃーーーん!」

 

 

 

 

 

(だめだ!こっち来る!)

 

 

かごめは、いつまでも立ち上がらずに身を屈めた犬夜叉に痺れを切らし、

咄嗟にある行動に出た。

 

 

まさか、いくら仲間でも、あんな状態の犬夜叉を見られたら、

もう二度と二人に合わす顔はない。

 

 

「ごめん!犬夜叉!」

 

「な!・・・かごめ!?」

 

 

かごめは、ありったけの力を込めて、犬夜叉の体を押しのけ、

すぐ脇にあった池へと押し倒した。

 

 

 

 

どぼーーーーーん!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?・・・あっちの池のほうで音が聞こえたぞ?」

 

「行ってみよう!法師様!」

 

 

ガサガサガサ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暫く、暗い茂みを入ると、池のすぐ脇にかごめはいた。

 

 

「・・・かごめ様!こんなところに・・・!」

 

「かごめちゃん!」

 

「弥勒様、珊瑚ちゃん!」

 

 

かごめは、笑顔で弥勒達に応えた。

 

弥勒達はかごめの傍に駆け寄り、無事を確認すると、

ほっと安堵の顔を浮かべた。

 

 

「よかった。かごめ様。」

 

「そうだよ!・・・あんまり帰りが遅いんで迎えがてら探しに来たんだ。」

 

「ごめんね、心配かけちゃって。さ、帰りましょうか!」

 

かごめは、そそくさと楓の小屋のほうに足を向け、小道へと歩き出した。

 

「え?う、うん。」

 

きょとんとかごめの背を見つめながら、後を追う。

 

「・・・犬夜叉はどうしました?」

 

その場を見回し、犬夜叉の姿を探す弥勒はかごめに尋ねた。

 

 

 

どき・・・!

 

 

 

「・・・い、犬夜叉は、・・・その・・・、水浴びしてるわ!」

 

「こんな夜の夜中に、水浴び・・・ですか?」

 

「そう!・・・さ、珊瑚ちゃん、行きましょ!」

 

 

がさがさと先へと進むかごめ。

 

小首を傾げつつも、かごめの後についていく珊瑚。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・。」

 

だが、弥勒は黙って、その場に留まった。

 

松明を池のほうに翳し、辺りを見やる。

 

 

 

「犬夜叉、いるんだろう?」

 

 

静かに水音が響く。

 

水面に浮かぶ緋の衣。

 

 

「おい、犬夜叉。」

 

「・・・・なんだよ、弥勒。」

 

 

水面に漂う衣が揺れる。

 

 

「・・・早めに上がってこいよ?」

 

「・・・うるせぇ。」

 

 

その言葉に波紋が広がる。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・袴の紐、きちんと直して、な?犬夜叉。」

 

「・・・大きなお世話だ・・・。」

 

 

弥勒は、ふっと笑みを浮かべると、池で漂う犬夜叉をそのままに楓の小屋へと戻っていった。

 

 

 

 

(あの野郎・・・!いっつも邪魔しやがって・・・!)

 

 

それは、ただの逆恨み。

 

 

(かごめの奴・・・、絶対、ゆるさねぇ!)

 

 

途中で終えた自身に手を当て、噛まれた場所を一人空しく摩る犬夜叉。

 

 

 

 

 

 

(思いっっっっきり、噛みやがって・・・!)

 

 

 

 

 

 

やがて犬夜叉は池から出ると、肌蹴た衣服を整え、

何食わぬ顔で、楓の小屋へと戻り始めた。

 

 

 

 

 

(次は絶対・・・!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

END