■呪 ―1―             (2008.6.7)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の声が聞こえるか

 

 

俺の視線(目)を感じるか

 

 

俺との出会いを覚えているか

 

 

俺と初めて交わった時の・・・・

 

 

かごめ

 

 

 

 

 

かごめ・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□ 序 章

 

 

 

「楓ばばぁ。弥勒達はどうした?」

 

「ん?ああ、ちょっと珊瑚の村に飛来骨を直しに行くとかで3日ほど出かけるとか。」

 

「なんでぇ。俺に何にも言わねぇで・・・。」

 

「ま、たまにはゆっくりしても悪くはなかろう。」

 

「けっ。」

 

 

 

夜の帳が下りてくる

 

見上げた月は後わずかで望となる

 

その明るさの下

犬夜叉はかごめの体を背中越しに体で覆い囲むように抱きしめていた

 

 

「今夜の月、すごい明るくて綺麗ね。」

 

「ああ。」

 

 

そっけない返事も仕方ない

 

犬夜叉は腕の中のかごめの体温を

一身に受け止めるかのように腕を固め、

夜風にやや冷たくなっているかごめの頬に

息が掛かるくらいの距離を保ちながら

抱きしめるだけで

かごめの言葉はただ空を流れるだけだった

 

 

「あ、あの・・・犬夜叉・・・」

 

「わかっているよ」

 

「う、うん・・・」

 

「これも駄目・・・か?」

 

 

抱きしめたかごめの

触れ合う場所に高まり行く体温

 

 

「我慢・・・して・・・る?」

 

「いいって。気にすんな。」

 

 

かごめの言葉を遮るのは重なる唇

犬夜叉は、長いまつげをそっと伏せ

かごめの顔へと己の頭(こうべ)を下げる

 

軽く重ねた唇と口内に押し入る

舌の動きはとても優しい

 

そっと絡み合わせると

犬夜叉はそれだけを確かめたかのように

そのまま面を上げ

俯き加減のかごめの額に唇を這わす

 

 

「犬夜叉・・・。」

 

 

女の体と月は似ている

 

かごめの体の中の変化と月の満ち欠け

 

犬夜叉もそれはわかってる

 

また、そんなとき

かごめの中で抵抗があることも知っている

 

自分は気にするほどのことでもないこと

 

だが、無理強いはさせたくない

ただ悪戯に求めることは容易くとも

時には堪え

相手の思いを尊重することも

今までのかごめとの関わりの中で学んだ感情

 

かごめもまた感じている

 

犬夜叉が自分のために堪えているということ

 

男と女の違いは東と西を点にする程に遠い

だが、だからこそ

ひとつになりたいと思う感情もまた自然の営み

 

 

 

この違う性が互いを求め合ったとき

ひとつになることを切望することを

時として

人は欲情とか肉欲と表現するが

どんな言葉で例えを変えようとも

 

 

欲しい・・・

 

 

求め請う自然の摂理

 

 

子孫を残す大役以上に

求め惹かれあう

 

「愛」

 

 

 

 

 

 

満天の星空の下、

そっと抱き合う今のこの二人の身に

これから訪れる災いなど

何一つ考えることが出来ようか

 

 

 

 

 

 

 

 

あの日、かごめがひとり辿り着いた湖のほとり

 

あのとき、なぜかごめを一人にしてしまったのか

後悔など先に立つものではないと知りつつも

犬夜叉の心に深く突き刺さったしこりは

後々まで引きずると事となった

 

 

あの日の出来事・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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