more so ・・・     4       2006105

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい。」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「どけっての。」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「おい!こら!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぶあ?」

 

 

「『ぶあ?』じゃねえよ。俺の着物で寝るな。」

 

 

「ぶぁぁ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・切るぞ?」

 

 

カチ・・・・

 

 

鉄砕牙の刃がきらりと覗く。

 

 

「ぶあぁ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「けっ!・・・ったく。」

 

 

 

緋の衣から、もそっと『ぶよ』が這い出てきた。

 

ゆっくりと犬夜叉の顔を見ると、大きく口を開け、

ドアの向こうへ、のそのそと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

「人の着物をなんだと思ってるんだ・・・。」

 

 

犬夜叉は、床に置かれていた衣に手を通し、

ドアのほうを睨み付けた。

 

「おめぇの寝巻きじゃねぇんだよ!」

 

 

 

けっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くあぁ〜〜〜〜〜〜・・・、あふ・・・。」

 

 

いつものいでたちへと姿を変えると、

開け放たれていた窓の前へと

大きく欠伸をしながら、歩み寄った。

 

 

(かごめのやつ、いつ帰ってきやがるんだ?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

窓の向こうに目を向ける。

 

窓から見上げた空は、向こうで見るそれよりも

四角く区切られたせいか、

狭苦しく見え、今一心地よさを感じない。

 

 

 

(つまんねぇ・・・)

 

 

一人の時間を過ごすには、あまりにも広いかごめの部屋。

 

 

 

(昼寝でもしてるか・・・)

 

 

 

 

いつものようにベッドに横たわり、

腕を頭の後ろで組み、目を閉じた。

 

 

(かごめ・・・、早く帰ってこいよ・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めるまでは、それはそれは、至福の時間を過ごしていた。

 

 

夕べ、あの後、気を失うように寝付いたかごめを腕に、

自分の中で一晩中抱きしめていた。

 

 

柔らかいかごめの白い肌をぴったりと自分に寄せる。

 

 

 

 

少し、汗ばんだしっとりとした肌。

 

その張りと肌理の細かい絹のような肌触り。

 

髪の毛から漂う甘い香り。

 

 

 

どれもかしこも、全ては自分だけのものだった。

 

 

 

 

 

 

頭の中で思い返すは、かごめの喘いだ声と潤んだ瞳。

 

 

 

 

 

『・・・あ!・・・お願い・・・!きて・・・!』

 

 

 

耳に残るかごめの艶かしい声。

 

 

 

 

 

もっと、もっとお前が欲しい・・・!

 

 

じんわりと熱を帯びてくる自分の腰元。

 

 

(かごめ・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その目覚めは、かごめの頭が動いたときだった。

 

「ぅぅぅ・・・ん。」

 

軽く首を動かし、開いたその瞳が一瞬、

はたっと犬夜叉の金の瞳と合い、暫く黙ったまま見詰め合っていた。

 

 

「・・・・・。」

 

「目ぇ、覚めたか?」

 

「・・・・。」

 

 

かごめの視線がゆっくりと下のほうへと向けられた。

 

 

「・・・・・。」

 

 

いつの間に眠り込んだのか。

 

気がつけば、犬夜叉の腕の中にしっかりと抱き抱えられ、

はたまた腕枕でぐっすりと深い眠りについていたかごめ。

 

タオルケットが体に掛けられてはいた。

 

だが、それ以上に妙に暖かい・・・人肌。

 

 

「・・・・・。」

 

「かごめ?・・・どうした?」

 

「あれ!あたし・・・!」

 

 

いきなり、飛び起きると自分のほうへとタオルケットを引き寄せ、

胸元でぎゅっと抱え込んだ。

 

「なんだよ!いきなり・・・。」

 

そういいながら、身を起こし、かごめの顔を覗きこむ。

 

するりと接がされたタオルケットが犬夜叉の体を覆っていた分まで

かごめのほうへと引き寄せられ、目の前にその姿が晒された。

 

 

「・・・・!!」

 

「なんなんだよ?」

 

 

そのまま、胡坐を掻き、目を見開いて唖然としているかごめを見やる。

 

 

 

(なんだ?・・・怒ってんのか?)

 

 

 

「おい?かごめ?」

 

 

 

(夕べ、無理矢理・・・、した・・・ことか?)

 

 

 

「・・・・。」

 

 

 

(そんなに・・・、嫌だった・・・か?)

 

 

 

恐る恐るかごめの顔を覗きこむ。

 

 

 

「かごめ・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやーーーーーーーー!」

 

 

「なっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドタッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かごめの叫び声を耳元で聞いた犬夜叉は驚いて、

そのままベッドから落ちた。

 

 

 

「ちょっ!・・・な、な、なんて・・・!」

 

 

かごめはタオルケットで体を覆い隠し、

素っ裸で床に叩き落ちた犬夜叉を見下ろした・・・・、が。

 

 

 

 

日のあたる明るい部屋で普段身に纏っていたはずの緋の衣を着ていない。

 

犬夜叉の裸体を目の当たりに思いっきり驚いたかごめは、

開いた口がふさがらない様子でただ唖然とするばかり・・・。

 

 

「いてぇ・・・。」

 

 

 

 

犬夜叉は落ちた拍子にしたたかに頭を床に打ち付けたのか、

ぶつけた場所をさすりながらもベッドへ戻ろうと足を掛けた。

 

 

だが、かごめは真っ赤に顔を染め、その姿さえ正視できないのか、

ぎゅっと目を固く閉じ、手元のタオルケットをなおのこと

強く握り締め、叫んだ。

 

 

「ちょっと!服着てよ!!!」

 

 

「なんでぇ、今更・・・。」

 

 

(って、何を怒っていやがるんだ?)

 

 

「なんでもかんでもないの!早く着てよ!」

 

 

(・・・・?)

 

 

壁まで、体を引き、必死に叫ぶかごめに

裸のまま、小首を傾げ、にじり寄る犬夜叉。

 

 

膝をつき、ギシッとベッドを軋ませながら、

かごめが身を構える正面へと体を寄せる。

 

 

「なぁ、かごめ?」

 

「こないで!見ないでよ!」

 

「かごめってば。」

 

「いや!」

 

 

 

その様子に犬夜叉は小さく溜息を洩らすと、

すっと腕を伸ばし、怯える様に身を固めたかごめを

そっと抱きしめた。

 

 

「お前、今更なに言っていやがる?」

 

「何よ!」

 

 

 

 

 

 

犬夜叉は、かごめの顎に手を掛け、自分のほうへと向けた。

 

固く閉じた瞼の上にそっと唇をあてる。

 

「・・・・・。」

 

 

力んでいた肩がすっと落ちていくのがわかった。

 

微かに震えていた体も落ち着きを取り戻したのか、

手元で握り締めた拳がふっと緩む。

 

 

犬夜叉は添えた手をそのままに、今度はかごめの唇に

自分の口を寄せ、僅かに舌を入れ、きゅっと吸い付いた。

 

 

「ん・・・。」

 

 

その行為にかごめは、うっすらと瞳を開け、

ようやく犬夜叉の真剣な眼差しを見つめ返した。

 

 

「・・・なんだよ?」

 

「・・・だって・・・。」

 

「お前、その・・・・怒ってるのか?」

 

「・・・・・。」

 

 

 

 

じっと見つめる犬夜叉を他所に、

かごめは、夕べの情事の一部始終を思い返した。

 

犬夜叉にさんざ焦らされた挙句、

自分じゃないようなことを言ったような・・・言わされたような・・・。

 

だが、当の言わせた本人、犬夜叉は何事もなかったかのように、

いつもの優しい瞳で自分を見つめている。

 

まして、その腕の中でお互い裸のまま、一晩中抱いて寝ていたなんて・・・!

 

 

 

「やだ!恥ずかしい・・・!」

 

かごめは顔をタオルケットで覆い、犬夜叉の懐へと体を埋めた。

 

「おい、何言ってんだよ。」

 

 

(夕べのこと怒ってるんじゃねぇのか?)

 

 

「かごめ?」

 

 

//////!」

 

 

「・・・・・・。」

 

 

 

 

腕の中で抱きしめたかごめの顔が赤くなって、

更に熱っぽく火照ってきているのが腕に伝わる。

 

 

(・・・無理矢理したこと、怒ってるわけじゃねぇのか・・・)

 

 

心なしか安堵する犬夜叉。

 

 

夕べ、かごめが入りたいと言われ、連れて行った『風呂』での・・・。

 

そこで見たかごめの体につい、

無理矢理、事に運んだ自分に聊か後悔の念がなかったわけでもなかった。

 

 

 

 

 

欲しい!

 

その欲求だけが先走り、かごめの体に噛み付いた・・・。

 

だが、腕の中で耳まで真っ赤に染まっているかごめを見ていると

どうやら、それは違うらしい。

 

そう。

怒ってるわけでも、泣いているわけでもなく。

 

ただ「恥ずかしがって」いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、かごめ?」

 

腕の中から、そっと引き剥がし、肩を掴み、

かごめを正面から見据え見つめる。

 

「俺はお前が欲しいだけだ。」

 

「・・・・?」

 

「恥ずかしい、とか、なんとか、そういうのってよくわかんねぇけど・・・。」

 

「犬夜叉・・・?」

 

かごめは上目遣いに犬夜叉を見つめた。

その瞳にはうっすらと涙さえ滲んでいる。

 

「だって、・・・あんなこと・・・。」

 

「なんだよ?あんなことって・・・。」

 

「・・・・・・。」

 

「お互いがいいなら、それでいいじゃねぇか?」

 

「・・・・・。」

 

「お前に拒まれるほうが俺には辛い・・・。」

 

「犬夜叉・・・。」

 

 

 

そっと頭ごと抱え、かごめの体を再び抱きしめた。

 

 

「お前がいいんだ・・・。」

 

「でも・・・。」

 

「お前だけだ・・・。」

 

 

もう一度、唇を重ねた。

軽く唇を舐めるかのように、上と下とを甘噛みすると、

くっと舌を入れ、中を吸い出し始める。

 

 

「んんん・・・。」

 

 

犬夜叉は、黙って胸まで引き上げたタオルケットを下げ、

露となった乳房の突起を掌の指と指の間でそっと摘んだ。

 

 

(あっ・・・・)

 

 

すっと眉間に皺を寄せ、身構えたかごめ。