「犬夜叉ぁ・・・。」
甘ったるい声に思わず耳が傾く。
「こんなに・・・、こんなに固くなっちゃって・・・。」
(・・・か、かご・・・め!)
生唾を飲み込み、喉仏がごくっと唸る。
(かごめ・・・!)
宴はまだまだ大賑わい、宴酣。
村人達のはしゃぎ騒ぎ立てる声が月まで届きそうな程。
「おおっと!酒がこぼれらぁ!」
「さぁさ、どんといけよ!」
陽気に浮かれ、酔いどれる。
そう。
今宵は、退治屋一行への感謝の宴。
村人達が団子や野菜、山で取れた獣の汁。
諸々の食べ物を持ち寄り、
男衆や女子共が挙って集まり、賑わっていた。
当然、そこへは酒もあり。
華やかな席の真ん中で、大名主宅奥座敷。
弥勒も珊瑚もその輪の中で盃を手に声を立て、笑っていた・・・。
月夜に酔う (2006.11.30)
『犬夜叉、あの女子、中々の美人だぞ?』
『あ?またかよ?・・・どーでもいいっての・・・。』
『でも、妖怪一匹退治しただけで、これもすごいよね』
『せっかく暖かい布団で寝れるなら、お言葉に甘えて・・・。』
『おら、腹減った・・・。』
「俺は部屋で休んでる。」
なんで、たかが雑魚妖怪一匹退治しただけで
こんなにどんちゃん騒ぎしなきゃなんねんだよ・・・
あからさまに嫌だという顔でかごめに応えた。
「もう。せっかく村の人がお礼にって言ってくれてるのに。」
「おめぇ一人で行って来いよ。」
「犬夜叉・・・。」
「俺ぁ、寝てる。」
かごめは先に宴の席へと向かった弥勒達が気になるのか、
障子のほうへ、ちろりと目をやった。
「腹減ってんだろ?」
「え?・・・そりゃ・・・。」
「行って来いよ。」
「犬夜叉、お腹空かないの?」
「あー、別に一度や二度今食わねぇからって死ぬわけじゃねぇ。」
「じゃ、またしちゃ悪いから行くよ?」
「おう。」
かごめは襖に手をかけ、廊下へと出た。
「かごめ。」
「ん?」
「・・・早く戻って来いよ?」
「うん。」
その台詞はまるで一人にするな・・・、一緒にいてくれ・・・と聞き取れた。
かごめは食事だけ頂いて、早々にその席から戻るつもりで
犬夜叉ひとりを残し、部屋を後にした。
が、あれから大分時間が過ぎたように思う。
かごめは一向に戻ってくる気配はない。
(なんだよ!すぐに戻るって言ってやがったくせに・・・!)
痺れを切らした犬夜叉は、溜息を洩らしながら、
かごめがいるはずの部屋へと足を向けた。
既に廊下の向こう側から、わいわいがやがやと
浮かれた声が聞こえてくる。
(ったく、何がおもしれーんだか・・・)
怪訝な表情で扉を開ける。
その場所にいるはずのかごめの姿を一瞬のうちに
その目は捉えた。
げ!
その顔を見た瞬間、犬夜叉は頭の中が多分真っ白になった・・・と思う。
盃を片手に見ず知らずの男の隣で仲良く肩を並べ、
酒を飲んでいた・・・というか、飲まされていた。
となりの男は、ちゃっかりかごめの太腿に手を置いている!
かごめもそれを差して気にする様子もなく
頬を僅かに赤らめ、笑って話している!
「かごめ!おめぇ、何飲んでんだよ!」
「へ?犬夜叉?」
睨みを利かした仁王立ちした犬夜叉の金の目に
驚いた男はかごめの太腿に乗せていた手を思わず引いてしまった。
最初の頃は、かごめも並べられた膳に箸を伸ばすのみで、
酒を飲み始めた村人達を遠めで見ているだけだった。
だが、かごめと珊瑚。
見慣れない美女を前に村の独身男共は我先に・・・と
徳利を手に擦り寄ってきた。
その様子を脇目で見ていた弥勒も当然胸中穏やかなはずがない。
珊瑚の隣に場所を構え、ここぞとばかりに、
それはまるで「俺の連合いに手を出すな」と言わんばかりに
酌させた。
退治屋の村で生まれ育った珊瑚も場を弁えているせいか、
弥勒の思惑が分かり、夫婦の如く寄り添って酌を交し合い始めた。
(仲いいな・・・)
かごめの中でその様子がちょっと羨ましく思えた。
(犬夜叉も来ればよかったのに・・・)
もくもくと箸を伸ばすかごめを見つけたのは、
村でまだ独身の男。
「どうだい?飲まねぇのかい?退治屋さん。」
大分酔いが回っていたのか、少々横柄な態度で
かごめの脇に腰を下ろした。
それを見つけた他の村人も同じように徳利を片手に
座り込み、かごめはついに逃げ道を失った。
お嬢さんも一杯どうか・・・と盃を手渡し、
なみなみと酒を注ぐ。
「いいえ。あたしは飲みませんから・・・。」
「たまにはいいじゃないか?」
「そうそう。・・・ちょっとだけ。な?」
「はぁ・・・。じゃ、少し。」
(お付き合い程度に飲んでから、部屋に戻ろうっと・・・)
何度かの遣り取りのうち、つい一口・・・、もう一口・・・。
気がつけば、多分徳利一本は開けたことだろう。
「いやぁ!いける口だねぇ。」
ほろ酔いはじめたかごめに気をよくした男は、
ちゃっかりかごめの体に密着し、酌させながら酒を飲み始めた。
時折、丈の短いスカートの裾に目をやり、
やがて、手を乗せ・・・と少々図に乗り始めて・・・。
やがて、そこに犬夜叉の登場。
「かごめ!おめぇ、何飲んでんだよ!」
「へ?犬夜叉?」
睨みを利かした仁王立ちした犬夜叉の金の目に
驚いた男はかごめの太腿に乗せていた手を思わず引いてしまった。
「じゃ、お嬢さん、おいらはこれで・・・。」
「あ!俺も今度はあっちで名主様に・・・。」
いそいそと席を外し去っていく村人達。
「あはは、バイバーイ。」
目が軽く座って潤んでいる。
頬はほんのりと色づき、その仕草もどこかまどろかしい。
「お前、酔っ払ってんじゃねぇか!」
犬夜叉は、かごめの腕を掴み上げると、
座敷からさっさと連れ出した。
「あー、犬夜叉来ないから、飲んじゃったー。」
「お前が戻ってくるって言ってただろうが!」
部屋に着くと、犬夜叉はかごめを支えながら、
先に用意されていた寝具の上へと横たえると呆れたように
ぷいっと背を向けた。
「んとにみっともねぇなぁ。酒なんか飲みやがって・・・。」
かごめの醜態を見てしまった・・・というより、
自分がその席にいればこんな事態は免れただろうに・・・という後悔の念。
部屋の隅で弥勒と珊瑚が寄り添って中睦まじく酒を酌み交わしていた様子が
かごめの姿を見つけてすぐに気がついた。
(酒がでる席だって分かってたのに一人にさせちまったしな・・・)
「悪かったよ・・・。俺がいればこんなことにならなかったもんな・・・。」
珍しく犬夜叉のほうから折れた。
だが、当の本人、かごめは聞いているのか、いないのか。
「まさか、飲まされるなんて・・・って、おい。」
「だって、白くていい匂いしてたから・・・。ちょっと・・・飲んじゃった・・・。」
「全然ちょっとじゃねぇじゃねぇか!」
「ごめんねぇ・・・。犬夜叉ぁ。」
許しを請うかごめへと振り向いたそのとき。
(か、かごめ・・・!?)
「あつーい!」
上着に手をかけ、制服を脱ごうと白い肌を露にし始めた姿に
肝を突かれた。
「お前!何やってんだよ!」
「あついー!脱ぐー!」
「だー!だめだ!やめろ!かごめ!」
(ここじゃ、まずいだろ!いくらなんでも・・・!)
いつ皆が戻るかも知れない床。
(そんなとこで服を脱がれたら・・・!)
犬夜叉は慌ててかごめの衣服を戻すと、
その体を抱え込み、廊下へと飛び出した。
「ったく、夜風で酔い冷ませよ。」
「うん・・・。」
(あー、やばかった・・・)
どきどきどきどき・・・
ぷす。
ぷす、ぷす、・・・ぷすぷすぷすぷすぷすぷす。
(ん?・・・かごめ?)
ぷすぷすぷすぷす。
「かごめーーーー!」
廊下に連れ出したまではよかったが、
酔いが回り始めたかごめは、障子にぷすぷすと指で穴を開け始めた。
「きゃー!面白―い!」
ぷすぷすぷす。
「や!やめ!こら!」
ぷすぷ・・・
「来い!」
犬夜叉はその手を掴むと、再びかごめの体を肩に担ぎ上げ、
どこか酔い覚ましにいいところはないかと辺りを伺った。
「あん!やん!何すんのよぉ!」
妙に色っぽい声を上げ、担ぎ上げられるかごめ。
色づいた頬にのたうつかごめの仕草は、
体も酒を飲んだせいか火照って熱くなっている。
犬夜叉はあせった。
酔ったせいか、身悶えるように肩の上で動くかごめに
「この酔っ払いが・・・!」と小言を言うも本人の耳には届かない。
「あん!どこ行く気よ〜?」
「いいから、黙ってろ!」
こんなかごめを他の男に見せなれねぇ・・・!
どっか、いいところはないのか!
真っ暗な夜の庭を見回した。
裕福な大名主の屋敷。
広い池に橋をかけ、見事にあしらった庭先。
(あそこか!)
犬夜叉は酔ったかごめを抱え、廊下から庭先へと飛び出すと、
見つけたその場所へと走り出した。
「ん?あれは犬夜叉か?」
「なんか、かごめちゃん抱えてたような・・・。」
宴の席を外し、二人酔い覚ましにと廊下に出、
庭先に目をやったとき、向こうの廊下から
かごめを抱え、飛び出していく犬夜叉の姿を見つけた
弥勒と珊瑚は何事かとこっそり後をつけ始めた。
「ここなら大丈夫だろう・・・。」
ふう・・・と息を継ぎ、かごめを下ろすと
重い扉をすっと閉めた。
見つけたその場所は庭の外れにある土蔵。
程ほどの湿り気が酔い覚ましにはいいだろうと思いつき、
咄嗟に飛び込んだ。
辺りに荷物が山積になっていたが、ふたりがいる分には
申し分ない程度に土間の部分があった。
「かごめ。酔い覚めたか?」
・・・って、まだか・・・
ふにゃ・・・・としたかごめは、何やら辺りをきょろきょろと伺っている。
「かごめ?」
「犬夜叉?どこ?」
「あ?何言って・・・。」
(そっか、真っ暗すぎて人間のかごめには見えないか・・・)
夜目の利く犬夜叉は、暗すぎる土蔵も関係なかったが、
かごめには全くの暗闇でしかなかった。
だが、酔っ払ったかごめには恐怖心はなかったが、
手探りで辺りを伺う辺り、いまだ酔いが醒めていないことを悟った。
「こっちに腰掛けてろよ。」
「きゃん!」
酔っているとは言え、甘い声が犬夜叉の耳を擽る。
まして、こんな暗い部屋の中で二人きり。
ざわざわと腹の下でざわめく感情がいつ噴出すかも知れない。
冷静に、冷静に・・・と犬夜叉はかごめを脇に詰まれた
大きな葛篭の箱の上へと座らせた。
「そこで、ちっと大人しくしてろよ。」
「うん・・・。」
今ここでかごめに自分の顔が見られないのはありがたかった。
普段見ることのない甘ったるく酔ったかごめの仕草は
妙に男の欲情を煽り立てる。
まさか酔っているかごめに事を起こすのもどうかと
変に意地を立て、その甘ったるい仕草に目をやるまいと背を向けた。
「犬夜叉ぁ。ここ真っ暗よぉ・・・。」
「ちっとしたら出るから、酔いが醒めるまでここにいろよ。」
「えー。そんなに酔ってるかなぁ。」
(って、それが酔っ払ってん・・・・だ?)
何・・・やってんだ?かごめ・・・???
「犬夜叉ぁ・・・。」
ぐっと抱きつき、頬を摺り寄せ甘えた声を上げ始めたかごめ。
「犬夜叉ぁ・・・ん。」
その声に思わず耳が傾く。
「こんなに・・・、こんなに固くなっちゃって・・・。」
(・・・か、かご・・・め!お、お前、どこ触って・・・!)
生唾を飲み込み、喉仏がごくっと唸る。
「かごめ・・・!」
何撫で回してんだよ・・・!おい!
「犬夜叉・・・。こんなに固くって・・・。」
「ごつごつになっちゃって・・・。」
「・・・・・お、・・・おい?」
ぎゅっ!
「って、お前!それ鎧だろ!」
「へ?・・・固い犬夜叉かと思った・・・。」
(どんな俺だよ!)
ぐら・・・・
「馬鹿!あぶねー!」
詰まれた荷物と一緒に鎧に寄りかかったかごめの体がぐらついた。
犬夜叉は咄嗟にかごめの体を引き、難を逃れたが、
荷物はガタタッと崩れ倒れた。
咄嗟とは言え、土間の上にとなだれ込む様にして倒れ込んだ二人。
倒れこんだ勢いで危うくかごめを下敷きになりかかったものの、
機敏な動きで難を逃れた。
しかし、結果としては犬夜叉がかごめを押し倒したかのように、
どさっと覆い被さっていた。
「いやーん!犬夜叉のえっちー。」
「何言ってんだよ!お前は!」
(大体えっち・・・って、なんだよ?)
とは言え、土間の冷ややかな土は何とも居心地が悪い。
これではかごめがかわいそうだと何かいいものはないかと
もう一度あたりを伺った。
(お?あれならいいか・・・)
「待ってろ、かごめ。今茣蓙敷いてやるから。」
いやーん・・・?
茣蓙敷いてやるから・・・?
扉の向こうでは、重い扉の向こうから何やら怪しげな
会話を交わす声に思わず聞き耳を立てていた弥勒と珊瑚。
(犬夜叉・・・。こんなところにかごめ様を連れ込んでまで・・・!)
(なーんか、見せ付けちゃって・・・!)
酔いが回っているこの二人にも普段の冷静さなど微塵もなかった。
弥勒は不敵な笑みを珊瑚に向けると胸元から数枚、
破魔札を取り出した。
「法師様?何すんの?」
「閉じ込めてやる。」
にやっと笑いながらも目は据わっていた。
手に取った破魔札を扉の線に沿って貼り付ける。
「これで犬夜叉も出られまい。朝までここに閉じ込めてやる。」
「法師様、すごいこと考えるねぇ。」
はっはっはっと笑う弥勒。
その様子に珊瑚も「じゃ、あたしも・・・」と
今度は扉に立てかけられていた重い閂を持ち上げると、
ガタ・・・とその扉へとはめ込んだ。
「あはは!これで開けられない。」
「さ、珊瑚・・・?」
「じゃ、もうちょっと飲もうか?法師様。」
(ほんっとうに敵に回すと怖い女子だ・・・)
破魔札と閂で閉じ込められた二人をそのままに
弥勒と珊瑚は、清々しい表情で宴の席へと向かった。
犬夜叉は、土蔵の奥の方から見つけ出した茣蓙を手に
かごめのいる土間へと敷き詰めた。
ガタ・・・
扉の外から響く音に犬夜叉は何事かと振り返る。
「なんの音だ?」
そういって、扉へ触れようとした瞬間。
バチバチバチ!
「うげっ!」
シュウシュウシュウ・・・・
ドタ・・・・
「犬夜叉?どうしたの?」
弾き飛ばされた犬夜叉は、座っていたかごめの膝元で
ひっくり返ってしまった。
「あ・・・あ・・・、あいつら・・・。」
「ねぇ・・・ん。どうしちゃったのよぉ?犬夜叉ぁ。」
「俺たちのこと・・・、俺のこと閉じ込めやがって・・・。」
「はぁ?閉じ込めたぁ?」
それを聞いたかごめも立ち上がり、扉へと手をかけた。
ん?あれ?びくともしない。動かない・・・。
「ねぇ犬夜叉ぁ?開かないよ?」
「はぁ?動かない?破魔の札なんか関係ねぇだろ?お前には。」
「だって、動かないよ?ぜんっぜん。」
まさか、ほんっとうに二人、ここに絞め出しやがったのか!
「あいっつら・・・!」
握りこぶしに力を込め、わなわなと震える犬夜叉だった。
が、かごめはまだ酔いの途中。
「ま、いっか。」
「へ?かごめ?」
犬夜叉の心配を他所にかごめは犬夜叉の声のするほうへと
向きを変え、見えない暗闇の中、手招きをする。
「ねぇねぇ。」
「なんだよ?」
(んっとに暢気なやつだな・・・)
「ちょっとこっち来てよ。い・ぬ・や・しゃ。」
何考えてんだ・・・とかごめに目を向けた。
そして、息を飲み込んだ。
闇の向こうで、かごめは制服から、するり・・・と
スカーフを抜き取り、うっすらと笑みを浮かべて立っているではないか!
「ねぇ、・・・来てよ・・・。」
「か、・・・かごめ?」
ごくっと喉を鳴らしつつ、呼ばれるまま一歩一歩歩み寄る。
ドキ・・・ドキ・・・ドキ・・・ッと心の臓が音を立てるかのように
激しく打つ。
さっきまで我慢し堪えていた感情がふつふつと湧き出してくる。
腰の辺りがじんわりと熱くなり始め、目の前に立ち、自分を呼ぶ声に
誘われるまま近づいた。
いいのか・・・?
このまま、いいのか・・・?
「ほら、来て・・・。ね?」
「かごめ!」
勢いよく抱きつき、茣蓙の上へと自分を呼ぶ声の主を押し倒した。
「かごめ・・・!いいのか?・・・このま・・・。」
勢いよく押し倒したまではよかった。
「・・・おい・・・・。」
下でかごめがくすくす笑っている。
「・・・おい?かごめ?」
くすくすくす・・・・
「何やってんだよ・・・。」
「これでー、あたしと一緒♪」
「おい!」
圧し掛かった犬夜叉の目に引抜いたスカーフを巻き、視界を奪う仕草。
「犬夜叉もあたしと一緒!何にも見えなーい!」
稚拙な行為ではあったが、かごめは犬夜叉に目隠しをし、
下敷きになりながらも声を立て笑い始めた。
(おめぇーーー!こん・・・のーーーー!)
「いい加減にしろよ!」
「あ!きゃあ!」
あまりにもの馬鹿さ加減にさすがの犬夜叉も切れた。
目隠しを取り払い、かごめの腕を掴むと左右へと大きく広げ、
真上から見下ろした。
「けっ!・・・散々煽りやがって・・・!」
(もう我慢ならねぇ!)
ほわーん・・・としたかごめにその危機(?)を感じ取ったのか、
だが、しかし酔いはまだ醒め止まない。
「もー、すーぐそーやってぇ、凄むんだからぁ。」
頬をぷくっと膨らませ、かごめも犬夜叉を睨み返した。
「なんだよ?」
と、その言葉を発すると同時にかごめの口の動きが何を言うのか、
瞬時に理解した犬夜叉は背中に冷たい何かが走った。
(わ!わわ!馬鹿!俺が真上にいんのに言霊使ったらお前まで・・・!)
「おーすーわー・・・・ん!」
咄嗟の機転・・・とは言え、思わずかごめの唇を塞ぐように
自分の唇を重ね合わせ、言霊を最後まで言うことを制した。
「んん、んんんー!」
塞いだはずの口元がつい、中へ進入し、ぬるり・・・とお互いを
呼び合うように絡めあう。
「う・・・ん。ん・・・んん・・・。」
唇を軽く噛み上げ、顎へとなぞる。
「・・・・・。」
本音を言えば、宴など出ないで、今宵かごめをそっと連れ出し、
ゆっくりと二人で楽しみたかった。
部屋に残ったのもかごめにそれとなく誘うつもりだったから・・・
でも、腹を空かしたままではかわいそうかと
「早く戻ってこい」とそれとなく伝えたつもり。
だが、思惑が見事にはずれ、かごめ一人見知らぬ男共と
酒を飲ませる結果になったことは自分に否がある。
そう。ちゃんとかごめに伝えなかったから・・・
酔った女にどうこうするのは、聊か卑怯な感じがし、気が引けていた。
二人交わるのに気持が繋がっていることの幸せを知ってしまったから・・・
だが、もうこうなっては辱も外聞もない!
(・・・・もうだめ・・・だ・・・。限界だ・・・!)
スカーフを引抜いたかごめを見たとき、
その時には既に自分の本能が見事に反応していた。
そして、唇を合わせた瞬間。
それまで押し殺していた理性が吹き飛んだ。
「かごめ!」
「あん!ちょっと・・・。」
「だめだ!もう我慢ならねぇ・・・!」
「あ!や!あん・・・!」
性急に自分の衣の前紐を解き、自身を取り出すと、
かごめのスカートの下に手を入れ、秘境を覆い隠した
白い布地へと手をかけ、さっと下げ下ろし引き抜いた。
脱がした白い布は丸まったまま、土間の隅へと転がっていった。
両足を開き、膝で腰を上げるように自分の体を割り込ます。
どこを辿ればいいか知っている手が秘境を弄る。
「・・・あ・・・あん!」
「かごめ!」
だが、潤いを待てるほど、もう我慢は出来ない。
が、いきなり・・・とも出来ないもどかしさが欲情を殊更煽り立てる。
「あ!あん!・・・。ちょ・・・・、犬夜叉ぁ!」
「だめだ!待てねぇ!」
潤いには程遠い気もしたが臨界に達した犬夜叉の自身は、
これ以上待つことができなかった。
さほどの前戯も何もなく、お互いの一部だけを結合するかのように、
その部分だけを晒し、宛がった。
「お前が悪いんだからな・・・!」
「あん・・・。犬夜叉ぁ。やぁ・・・ん!」
「もう・・・、い、挿れる・・・ぞ?」
ぐぐっ
(やっぱ、早すぎたか?)
「・・・・。」
(いや!だめだ!俺が我慢できねぇ!)
ぐぐっ!ぐ!
(もう・・・、少し・・・・)
ぐ・・・!
「おい?かごめ?・・・・おい!」
「zzzzzzz・・・」
「おい!寝るな!こら!かごめ!」
「zzzzzzz・・・」
「・・・・・。」
(まさか、寝てんのに無理矢理・・・したら・・・)
「zzzzzzz・・・」
(やっぱ怒る・・・よな?)
「zzzzzzz・・・」
「かごめ!寝るな!おい!起きろって!」
「zzzzzzz・・・」
「っく〜〜〜〜〜!」
(これ、どーすりゃいいんだよ!)
土蔵の天井近くにある明り取りの小窓から光りが差し込んでいた。
どうやら朝を迎えたらしい。
「あれ?なんでこんなところであたし寝てたんだろ?」
茣蓙の上で寝ていた自分に小首を傾げる。
だが、寒さらしい寒さなど感じなかった。
気がつけば犬夜叉の緋の衣が掛けられていた。
犬夜叉の腕枕で一晩を過ごしていたらしい。
その腕の中は、どんなに暖かい寝具より最高に寝心地がよかった。
どうして、ここで寝ていたかはよく分からないが、
一晩中犬夜叉が自分のことを抱きしめ暖めていてくれたのであろう。
(ずっとあっためていてくれたんだ・・・)
「犬夜叉・・・。」
その声に薄っすらと目を開き、かごめを見つめた。
「あ・・・、目覚めたか?」
「うん。」
「寒くなかったか?」
「全然。犬夜叉、一晩中あっためていてくれたんだ・・・。」
ありがとう・・・といいながら、
縋り付くように犬夜叉の胸にそっと頬を寄せる。
昨日のかごめとは違う、いつもの様子のかごめに
安堵した犬夜叉も自分の胸にと来たかごめを
枕にしていた腕で、やさしく包み込んだ。
「犬夜叉・・・。」
「かごめ・・・。」
(あれ?なんか、スースー・・・。あれ???)
いつもと違う感覚。
妙にスースーと・・・。
って、どこがスースー?
「○%*☆♂≠¥◇・・・・・!!!!」
「どうした?かごめ?」
「い、い、犬・・・夜叉!」
「どうした?おい?」
「あ、あ、あんた・・・、夕べ、あたしが寝てる間に・・・!」
(あ!忘れてた!)
そう。
土蔵の隅へと転がされた小さな白い・・・。
お互い飛び起きるようにして身を起こし、向き合った。
「ば!ちが!誤解だ!かごめ!」
「あんた!何したの!」
かごめは怒り狂ったように犬夜叉の胸倉に手をかけ、
睨み凄むと激しく食って掛かってきた。
片手でスカートを抑えながら、犬夜叉に飛びついた。
「誤解だ!かごめ!落ち着けっての!」
「何が誤解よ!何したのよ!」
つん
「?」
犬夜叉に飛びついたかごめの胸に下から触る固いモノ・・・。
「何?」
「あ・・・。」
ひょっこりと頭を擡げていたのは、もう一人の小さな犬夜叉。
「ちょっと!どういうつもりよ!」
「馬鹿!仕方ねーだろ!朝だぞ!」
「朝だからなんだってのよ!関係ないでしょ!」
「お・・・男は皆、朝は・・・!おい!聞けって!」
「おすわりー!おすわりおすわりおすわりおすわりおすわり、おすわりーーー!」
「法師様・・・、気持悪い・・・。」
「私も・・・、少々飲み過ぎた・・・。」
お互い、もう少しこのまま寝てようと
もそもそ床の中へと頭を抱え、潜り込む。
「あ・・・!ああ!」
「おめぇ、寝ちまうし・・・、っく・・・はぁ!」
ようやく結合した二人、いまだ土蔵の中に閉じ込められたまま。
さすがに夕べ直前で果たすことの出来なかった行為の続き。
かごめのきついお仕置きの後、
犬夜叉の切なる願いを聞き入れた愛しき女の温もりに
ようやくたどり着けた、ちょっと気の毒だった哀れな男・・・、犬夜叉。
「あ!や!・・・ああん!」
「は・・・はぁ・・・はぅ!」
(やっと出来た・・・・!)
「雲母、大人達はほっといておら達で遊びに行こうな?」
「みゃー。」
END
(Comment) by はなたちのまま
ネタを提供してくださった某マスター様ありがとうございました。
貴殿の爆笑BLOGネタから、こんな内容が出来るとは、自分でも思っていませんでした。
酒酔いネタは、以前『表』で書いたことがありましたが、裏解釈ではこうなりました。
エロさよりもコメディですね。(コメディってほど面白いかどうか・・・(汗;))
ここでのキーワードは、「鍵」今回は閂(かんぬき)と破魔札でした。
本当の鍵では、犬夜叉だったらぶっ壊せますしね(笑)
箱の中に閉じ込めてみたかったんです。この二人を。そう、監禁。
グロいのは、またちがくなりますが・・・(←これも好きだけどね)
そして、「スースー」。これも某マスター様より頂きました。
多分、同じように『スースー』したことでしょう。
本当にありがとうございました。(多謝)
どうぞ、ご感想聞かせてね(*^_^*)