蝶と杭 ―2―             (2006.12.8)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やだったら!やめてよ!」

 

「・・・・・。」

 

終始無言のまま、犬夜叉は押し黙ったまま、

かごめの両手首を左右のベッドの端へと括り付けると

ゆっくりとかごめのほうへと顔を向けた。

 

「い、犬・・・夜叉・・・。」

 

大きな瞳から涙が溢れ毀れている。

 

彼が何を望んでいるのか、何がしたいのか。

自由を奪われたかごめには何一つ思い浮かばない。

 

大きく左右へと広げられた腕に力を入れると、

手首に鈍い痛みが走る。

 

「外してよ・・・。」

 

「・・・・・。」

 

「お願い・・・だか・・・ら・・・。」

 

黒髪へと変わったことで、その心の奥底にも何か変化があるのだろうか。

 

火照らされた体。

凍て付く視線。

 

真上で自分を見据える犬夜叉に何をどう言えば

解放されるのか。

 

・・・わからない。

 

ゆっくりと我が身に圧し掛かる犬夜叉の手が

無言のまま、かごめの体へと迫り指先を這わし始めた。

 

「お前の全てを知りたい。」

 

「知ってる・・・じゃない・・・。」

 

「朔の俺は初めてだ。」

 

「・・・・。」

 

その手はじっくりと乳房の全てを包み込む。

 

「・・・ぁ・・・あ!」

 

手の平が頂点をも包むように摩ると、先端が固いせいか

手の内で転がるように角度を変え、それがまた刺激となって

意としない状況下、官能へと引きずり込んだ。

 

「ん・・・・、ああ!」

 

「かごめ・・・。」

 

「あ!あ・・・ん!」

 

「離れるなよ・・・。」

 

快感の渦の中で耳に入る冷静な犬夜叉の声。

自由を奪われ、半ば拷問のように肉体を貪られる中、

その理由を知るべく、犬夜叉が呟く言葉に

かごめは必死に耳を傾けた。

 

「俺の傍から離れるんじゃねぇよ・・・。」

 

「い・・・犬・・・夜叉・・・?何言ってるの・・・?」

 

やはり、かごめの問いには応えない。

自分のなぞる線にだけ目は追っていた。

 

「お前の体は、こんなにも綺麗なんだな。」

 

(わかんないよ!・・・あんたが何言ってんのか・・・、わかんないよ!)

 

指先が乳房の頂点を弾く。

 

「あ・・・ん!やぁ・・・ん!」

 

固くなった蕾を転がし、その感触を存分に味わった後、

犬夜叉はその胸にゆっくりと顔を埋めた。

 

「お前の鼓動が聞こえる・・・。」

 

「犬夜叉・・・。」

 

「どうして俺を置いていった?」

 

「・・・え?」

 

「どうして、俺を置いて行ったりした?なぜ泣いたんだ・・・?」

 

 

(それがこんなことする理由なの?そんなことが理由だったの?!)

 

 

「だって、ママからの電話だったのよ?娘を心配しての連絡なのよ?」

 

「だから、なんだってんだよ?」

 

「親が子供を心配するのって当たり前じゃない!」

 

思わず語尾を荒げ、犬夜叉に訴えた。

 

「俺から・・・、離れるな・・・。かごめ・・・。」

 

「だから、心配して・・・。」

 

 

 

 

 

 

(・・・・あ!)

 

 

 

 

 

 

―――――そうか・・・、そうだったんだ・・・

 

 

 

 

 

かごめは、自分の鼓動に聞き入る犬夜叉の眼差しが

どれほどまでに真剣か、そして、感じた。

 

朔の夜を一人で過ごしてきた犬夜叉。

 

妖力を失えど、それでもなお、火鼠の衣だけを頼りに

じっと闇に息を潜め、全ての脅威から身を守って生き抜いてきた幼少時代・・・。

 

「生きる」か「死ぬか」のとてつもない不安、そして孤独。

 

ママがさっき何度もかごめに電話をし、

無事を確かめようとしたように、

犬夜叉も自分の下から離れたかごめが

不安でたまらなかったんだということ。

 

 

一瞬でも、自分の傍からかごめが離れてしまうこと・・・。

 

朔の夜に自分の傍から、その存在、温もりが無くなるという恐怖。

 

 

人間となっても、かごめを守りたいという強い使命感と愛情。

 

 

 

―――――言葉にすることが下手なことは自分が一番知ってるではないか。

 

彼は、人に弱音を吐きやしない。口にしない。

 

そんな不安だらけの朔の夜を生きてきた男が自ら衣を脱いだ。

 

そして、人間の男として、かごめを抱きたいと渇望する性。

 

 

犬夜叉の不安を省みず、飛び出していったのは・・・自分だった。

 

 

(犬夜叉・・・!怖かったんだね・・・。不安だったんだね・・・。)

 

 

初めて朔の夜に二人肌を重ねることがこんなにも重いことだったんだ・・・

 

 

かごめはようやく諭した。

 

 

「犬夜叉・・・。」

 

「お前を・・・見たい・・・。」

 

 

犬夜叉の心の奥を垣間見たような気がした。

 

普段、どんな妖怪より強い彼も、

一旦人間となると自分でもどうしようもなく不安と恐怖に駆られてしまう。

 

今まで旅の途中で何度も朔の夜を過ごしてはきた。

 

だが、決して眠ることもなく弥勒や珊瑚に悪態をつこうとも

弱音を吐くことだけはなかった。

 

だが、今は全てを脱ぎ捨て、真の意味での丸腰となって

人間としてかごめの体を、全てを欲しいと

命がけで求める彼の行為に何を否定できるだろうか。

 

 

(犬夜叉・・・!)

 

 

自分の軽はずみな行為がどれほど彼を不安に落とし込んだのか・・・。

 

朔の夜を初めて迎えることに少なからず浮き足立っていた・・・。

 

 

 

―――――彼を守るなんて、そんな簡単に言えるような言葉じゃないよね・・・

 

 

 

 

 

いつしか悲しみに流れていた涙は止まり、

目尻には微かに濡れた後が残るのみだった。

 

 

(あんたの気の済むようにして・・・いいよ・・・)

 

 

かごめは、それまでの耐え難い、それこそ陵辱に近い扱いの憤りを

一瞬に振り払い、犬夜叉の気のすむようにと全身の力を解いた。

 

 

「お前を直に感じたい・・・。」

 

「いいよ・・・。」

 

「かごめ・・・。」

 

「あんたがそうしたいんなら、いい・・・よ・・・。」

 

 

かごめの言葉に犬夜叉は、僅かに緊張を解いたかのように

穏やかな表情で顔を上げ、かごめを見つめた。

 

 

「いいのか?」

 

「うん、いいよ・・・。犬夜叉。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

縛られた手首にも怒りはなかった。

 

かごめは込み上げる羞恥心を必死に堪え、

黙って犬夜叉に自分の体を預けた。

 

 

「お前の体は綺麗だ・・・。」

 

 

ベッドの横に置かれたスタンドの明かりに

羽を広げた一匹の蝶の模様が美しく照らし出される。

 

犬夜叉は上半身を起こし、指の一本一本で

その肌の上をなぞり、絹の感触を確かめる。

 

その度に甘い吐息が漏れ、体が官能の奥へとよがり狂わせる。

 

「う・・・んん。・・・あ!」

 

横たえたかごめの上半身を確かめ終えると、

今度は腹部から更にその下へとその手を移す。

 

臍【さい】の窪みを通り、その下の茂みの中へと指を滑らせて行く。

 

「あ・・・、はぁ・・・あん!」

 

両足に手をかけ、上へと大きく広げ持ち上げ、

花弁の中心まで舌を手繰ると指でそっと花弁を広げた。

 

溶け出した蜜蝋が太腿の内側を伝い落ちていく。

 

花弁を一枚一枚丁寧に剥いでは舌と指で輪郭を沿わせると、

その動きに合わせるようにかごめも熱く息を吐いた。

 

「・・・あ!や!あ・・・あん!」

 

不規則に吹く息がますます熱くなっていく。

 

「はぁ!あ・・・ん!」

 

やがて、その指先が中心へと沈み込まれると

かごめの体は更に大きく仰け反り、腰を上げ始めた。

 

 

「ううう・・・んん!ああ!」

 

「感じているのか?」

 

 

黒髪の男、犬夜叉の中心もまた固く熱くそそり立っている。

薄目にもわかる犬夜叉の反応。

 

それでも、抜き差しする指と胸元を弄る動きをやめようとはせず、

かごめの一挙一動を見逃すまいとじっと食い入るように見つめるばかり。

 

「ああん!いやぁ・・・あ!」

 

またしても涙が滲み出る。

 

「あ!もう・・・!犬夜叉!あああ!」

 

かごめは腕を何とか動かし、腰を上げ、漏れる喘ぎ声とともに懇願する。

 

(もう・・・だめ!おかしくなりそう・・・!)

 

身悶えるたびに豊かな乳房が左右へと揺れるのを犬夜叉は

真上から目を細め、麗しそうに見つめ眺めた。

 

 

「すげぇ・・・綺麗だ・・・。」

 

「あ!あん!」

 

 

抜き差しする指の動きが早くなる。

 

鋭い爪を気にすることもなく、遠慮なく動き続ける抜き差しに

かごめは気の遠くなるような恍惚感に陶酔し、

意識が朦朧とし始めた。

 

(やだ!もう・・・これ以上・・・!)

 

激しく身を震わすかごめの様子を確かめるように見つめる犬夜叉は、

一本、二本と差し込む指の数を増やし、そこに絡みついてくる蜜蝋を

しっかりと掬い取ると、その指を自分の唇へと宛がった。

 

 

「お前のだ・・・。」

 

「あ!いや!やだ・・・!」

 

その濡れた指先がスタンドの明かりに照らされ、光るのを

あえて見せ付けるように自分の口の中へと運ぶと犬夜叉は

満足そうにまた目を細めた。

 

「いや!」

 

思わず目を閉じ顔を逸らしたが、あっさりと顎をつかまれ、

正面へと向けられ、そのまま唇を塞がれた。

 

「ん!う・・・んん!」

 

割り込んだ犬夜叉の腰が下腹部へと押し付けられると、

勢いついた雄がそのまま、花弁の中心へと何の抵抗もなく

するりと差し込まれた。

 

 

「うう!んん!・・・・はぁ、あ!!」

 

「はぁ・・・!う!」

 

何度かの揺れの後、犬夜叉はようやく塞いだ唇を解放し、

ゆっくりと落としては引く自身とかごめの結合した部分を見つめた。

 

「あ!・・!あ!」

 

膝に手をかけ、固定するかのように大きく広げ、

その中心へとゆっくり腰を落とす。

 

「うぅ!・・・ああん!」

 

差し込んだ熱い杭。

 

捕まえた蝶の中心を貫く熱い杭。

 

突き刺さる杭の根元に手を伸ばし、緊張した花弁の核を弾く。

 

「いや!や!ああ!」

 

手首に巻かれた紐が食い込むほどに激しく仰け反り、

声をあげるかごめを、犬夜叉は食い入るようにじっと見つめ、

固く張り詰めた核を爪弾いた。

 

「あん!あ!ああ!」

 

杭を差し込むたびに肉が弾ける音が早くなるに連れ、

お互いの興奮を更に高めてく。

 

暫く眺めていたかごめの喘ぐ姿を見据えると、

身を屈み、更に激しく腰を震わした。

 

 

「う・・・!は・・・!はぁ!」

 

「ああん!や!あ!」

 

 

水音とともにベッドのスプリングもまた激しく軋む音を奏でる。

 

 

 

「い・・・犬・・・夜叉!」

 

「どうした?・・・かごめ?・・・どう・・・した?」

 

腰の動きを止めることなく、

それでも自分の名を呼ぶ声に犬夜叉はようやく応えを返した。

 

「う・・・腕外して・・・!お願い・・・!」

 

「かごめ・・・?」

 

「お願い・・・!あたし・・・、あたし・・・!」

 

 

 

 

「あんたを・・・犬夜叉を・・・抱きたい・・・!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「かごめ・・・!」

 

その言葉を聞いた瞬間、犬夜叉は手を伸ばし、

ベッドに括りつけた布を引きちぎった。

 

手首に縛った布を残しながらも、

かごめはやっと解放された痛々しく赤くなった部分を見ることもなく、

そのまま犬夜叉の背に手を回すと、ぐっと強く抱きしめた。

 

「あ!犬夜叉!・・・きて!もっと・・・!きて!」

 

「かごめ・・・!かごめ!」

 

強く重なる二人をスタンドが黙って照らす。

 

「あん!あ!もう・・・!あたし・・・!」

 

混濁する意識の中、快感が頂点を極めようと体の奥で

何かがざわめき、自分の限界を訴えた。

 

「かごめ!」

 

犬夜叉は自身を抜くとかごめの体を起こし、

自分の膝の中へと抱えるように形を変えた。

 

「ああ!」

 

真下から再び杭が体の中心を貫いた。

 

「や!もうだめよ!これ以上・・・!」

 

絶頂を阻まれた体は破裂寸前となり、全身の血管全てが逆流するかのように

鳥肌さえ立ち始めたものの、犬夜叉は更に激しく真下から自身を突き上げた。

 

「かごめ・・・!見てみろよ!」

 

「あ!やん!あん!」

 

背中越しにかごめの顎を捉え、正面へと向けさせた。

 

「見てみろよ!」

 

「あん!・・・何・・・よ?」

 

 

 

 

(ああ!あれは・・・・!)

 

 

 

 

ベッドの脇に置いたままの姿見鏡がはっきりと二人繋がったままの

全てを映し出していた。

 

 

「やぁぁ!見たくない!やめて!」

 

「見ろよ!かごめ!」

 

 

犬夜叉の腕の中で、激しく突き上げる動きとともに揺れる乳房と

その下のほうで花弁の中心を貫いている黒々とした杭が

はっきりと映し出されていた。

 

犬夜叉は鏡の中で身悶えるかごめを見つめながら、

正面に映って見える自身をしっかりとくわえ込んだ花弁の中心の

更に核に手を宛てると、爪のない指先で容赦なく刺激し始めた。

 

「ああ!いやぁぁ!」

 

泣き叫ぶような喘ぎが響く。

 

「すげぇ・・・!お前は・・・綺麗・・・だ!かごめ!」

 

 

指の動きと下からの突き上げがいよいよ頂点を迎えようとした。

 

「かごめ・・・!見てみろよ!」

 

「ああ!やああ!」

 

「見ろよ!・・・はぁ!」

 

「あああ!・・・あ!」

 

いつにもましての締め付けがくわえ込んだ

犬夜叉自身の杭にもそれを感じたとき、

かごめは腕の中、ぐったりと力尽きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのまま、二人は姿を消すかのように下のほうへと沈み込み、

鏡の中から消えていった。

 

 

 

 

かごめの体を再びベッドへと戻し、

意識の失ったその体で何度か激しく揺れ動いた後、

自分もその上に力尽きるように倒れこんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

果てた後。

犬夜叉はしばらくの間、かごめの体を抱きしめていた。

 

合わせ重なった部分にお互いの体に汗が滲み、更に密着させる。

 

「かごめ・・・。」

 

 

独特の、疲労感・・・というのだろうか。

 

普段なら、絶対に感じることのない感触が体の動きを

僅かに鈍らせる。

 

(これだから、人間の体ってやつは・・・!)

 

そう思いつつ、真下にいるかごめに視線を向ける。

 

目尻に残る涙の跡に気がつくと、

そっと指で拭った。

 

張りのいい肌の感触が指に感じる。

 

 

少し、熱くなっていた体の感触もそうだ。

 

 

「かごめ・・・。」

 

 

意識のないかごめをもう一度ぐっと抱きしめた。

 

 

 

 

捕まえた蝶。

穿つ杭。

 

決して離さない。

 

 

 

それが例え、お前が逃げたいと思ったとしても・・・

絶対に離しやしない・・・

 

逃がさない・・・

 

 

 

羽の動きを止めて寝入る麗しい蝶。

 

 

 

「かごめ・・・。」

 

 

愛しい名を口にする。

 

その声が聞こえているのか、かごめは目を閉じたまま、

軽く首を傾けた。

 

 

「・・・・かごめ。お前を離しやしない・・・。」

 

体を屈み込み、唇をそっと重ねる。

 

「うう・・・ん・・・。」

 

もう一度寝返りをうつ。

やはり、目は閉じたまま。

 

犬夜叉は、かごめの黒い髪を一掴み手に取ると、

そっと自分の口元に宛て、目を伏せた。

 

愛しい香りが体の奥に染み込んでいく。

 

 

 

 

「かごめ・・・。愛している・・・。」

 

 

 

その瞬間、伏せたかごめの瞳から一粒の涙が零れ落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつけば朝を迎えていた。

 

いや、時間は分からない。

 

窓から差し込む光りに眩しさを覚え、目が覚めた。

 

 

(・・・朝?)

 

かごめは、少しだるさを残しながらも、

目を開き、腕を伸ばした。

 

 

「・・・・・。」

 

手首に目をやると、夕べ巻かれた布は既になかった。

 

赤く腫れた手首に気がつけど、不思議と怒る気持はなかった。

 

 

(外したんだ・・・)

 

 

かごめには、その跡がただ激しい行為の名残だという程度に留まり、

それ以上、それ以下の感情はなかった。

 

あるのは、初めて朔の夜の犬夜叉と交われた満足感。

 

愛され尽くされた幸福感。

 

僅かの疲労感。

 

 

 

 

ぱたっとシーツに腕を落とす。

 

(あれ・・・?)

 

気がつけば、そこに犬夜叉がいつも身につけている緋の衣が掛けられていた。

 

「・・・・。」

 

かごめは飛び起きるようにベッドから体を起こすと、

瞬時に部屋を見回した。

 

「犬夜叉?」

 

「起きたか。」

 

ベッドの上、かごめのすぐ脇に腰を下ろし、

腕を組んだ犬夜叉がそこにいた。

 

その姿は既に衣を身につけていた。

赤い袴と白い襦袢の背に掛かる銀の髪。

 

差し込む朝日が振り向いた犬夜叉の顔を光りの中にと溶かし、

はっきりとその表情は見て取れなかったが、

その様子はどこか、自信に満ち溢れたいつもの顔だった。

 

さら・・・と腰まで靡かせた銀糸。

ゆとりある態度。

 

(元に・・・戻ったんだ・・・)

 

その姿を見て、朔が終わったことを知る。

 

 

 

かごめは掛けられていた緋の衣で胸元を覆い隠しながら、

すぐ脇にいる犬夜叉の背に身を寄せた。

 

背に広がる銀の髪が鼻先を軽く擽る。

 

 

「・・・あたしと同じ髪の匂いだ・・・。」

 

「かごめ・・・。」

 

 

犬夜叉は振り向き様にかごめを抱きしめ、

ベッドへと押し倒した。

 

唇を重ね、黒い髪をやさしく撫でる。

 

 

「誘ってるのか?」

 

「違うわよ。」

 

 

真剣な金の瞳にかごめは笑顔で応える。

 

 

「最後まで・・・欲しくなる。」

 

 

掠れた声で甘えるように唇を摺り寄せる。

 

 

「だめよ。いや。」

 

「どうして?」

 

 

首筋から鎖骨へと身を沈めていく犬夜叉。

 

光りが差し込む窓へとかごめは目を逸らしながらも、

胸元にいる犬夜叉の頭をそっと抱きしめた。

 

やさしい温もりのある腕に包まれた犬夜叉は、

まどろむように静かに瞳を伏せ、

かごめの中の鼓動にじっと聞き入っていた。

 

 

 

 

(愛している・・・)

 

 

 

かごめは夕べ、薄らいでいく意識の奥で

その言葉が頭のどこかで響いた気がしたことを思い出した。

 



           (・・・夢・・・よね・・・)




 

未だかつて聞いたことのない言葉。

 

簡単に口に出来ない至上の愛の一言。

 

 

 

いつか、自分にその言葉を正面から言ってくれる日が来るのだろうか。



 

(犬夜叉・・・)



 

いや、言葉にしなくても彼は間違いなく自分を愛している。

自分もまた彼を愛しているように。


           
 


 

窓に向けていた視線を戻し、

もう一度強く彼を抱きしめる。

 

 

 

 

 

 

「ね?休ませて。」

 

「・・・少し・・・だぞ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Comment           by はなたちのまま

 

                     初めての朔の夜を過ごすこと・・・。

                     今まで一人きりで過ごし生きてきた彼の孤独と戦い生きていくうえで必要だった全ての妖力を

                     失う朔の夜をどんな気持で過ごすのか、かごめとどう過ごすのか、交わるのか。

                     恐怖は?不安は?・・・いろいろあるかと思い、今まで思うように考え付きませんでした。

                     さらに付け加える要素。このサイトですからね。エロ?(露骨〜)でも、愛情もたっぷり。

 

                     歪んだ愛情表現・・・て、お互いの同意の上では、問題にならんだろう・・・と

                     『大人』的論点で仕上げてみました。

 

                     エロさはありましたか?愛情は感じましたか?

 

                     彼の朔の夜に全ての衣を脱ぎ捨てる勇気と不安、伝わりましたか?

 

                     駄文にて、聊か拙い表現ではありますが、そんな思いを淫靡〜に感じていただければうれしいです。