遠き果てに (文/白玉様)






果てなき想い 2



祠の中で、
かごめが感じた悲しみ、絶望

桔梗を抱きしめた時のかごめの痛み


かごめ...お前はいつも
こんな苦しみを我慢して
おれに笑顔をみせてたのか


戦国に戻り
弥勒に、自分は井戸を通れても
祠からでることも
かごめにも。俺はみえない

「犬夜叉には。かごめ様が
みえるのですね。」

「あぁ、しかも、あの日かごめを裏切った日からのかごめの心が勝手に流れきて、辛えなんて
もんじゃねえ」

「犬夜叉、これは試練かもしれませんよ。
いままで。かごめ様が流した涙を
心の傷...すべてお前がうけいれたら、もしかすると、かごめ様を腕の中にもどせるかもしれません」


......


「試練だろうが。なんだろうが
おれは...もう一度かごめを抱きしめることができるなら、つらいことなんてねぇ...かごめを抱きしめたいんだ」


弥勒が

「犬夜叉にしては、素直ですね。
桔梗様のことは?」

「......かごめをみるだけで
胸を、えぐられそうだった...
弥勒...おれは、ひどいやつなんだろうな」

「...犬夜叉?桔梗様はお前に人になれといったそうだな
かごめ様から、人になればと
聞いたことはない。かごめ様は
ありのままのお前を愛しておられる。もし変幻したお前をみたら
桔梗様は破魔の矢でお前をうつだろう。
かごめ様は、変幻をとめるため、お前になんど抱きついたか...
それが今の私にいえることですよ。」


おれは......。

いつもの木の場所で
空を見上げる


弥勒と珊瑚は、かごめが戻ったら、改めて祝言をあげるからと


今でいう、内縁になっている

七宝は山の向こうに修行にでて
おり、すこしでも犬夜叉の力になろうとしている

りんは、楓のところで
少女から女性になるために
あずけられてはいるが
殺生丸は日に一度は
りんに姿をみせ
一緒に空を短い時間だが
飛ぶ。短い逢瀬でも
愛しい時間にはかわらない

殺生丸は...
(犬夜叉よ。まだ、かごめには
たどり着かぬのか...まだ
あの死人を忘れんのか?)



祠の井戸から。見えるかごめを
何度だきしめたかったか


時折寂しそうな顔して
おれの名を呼ぶのに

御神木の、木に触れ涙するかごめ

俺はここにいるのに


旅している間、お前は
こんな苦しい思いしながら

おれの、そばにいたいと
いってくれてたのか


だれになんと言われても桔梗を守るといった俺や
後を追って、死にたいと
妖怪に心を読まれても



かごめが祠を、見つめる
俺にはお前がうつっていても

かごめには、おれがうつらないんだな

きっと、旅していて
桔梗を思っていた俺をみていた
かごめは。今の俺だ


そうやって毎日
犬夜叉は会いににきていた
来る日も来る日も


日々女、らしくなるかごめ
服装がかわり、可愛らしさから
大人びた姿に...

悲しいかな、かごめの部屋でのかごめの心は犬夜叉に繋がる

やはり。泣いている...
時折、俺の名を呼びながら

あいつは。半妖のままでも
変幻してわからなくなった俺でも
うけいれてくれた
蒴の日は、ずっとそばにいて
守ると


このまま、かごめが
違う誰かのものになり
年を取り。かごめが死ぬのを
俺は祠からみるしかねえのか
触れることを許されず

これがあの時の罪なのか...


季節はすぎ、
弥勒、珊瑚に双子が生まれ
また。新しい命が誕生しようとしている?

弥勒は女ったらしだったが
珊瑚を、命がけで守った
風穴が裂ける恐怖より
愛しい珊瑚を守る為

奈落との闘いが終わり
二人は幸せそうだ

俺とは違う
あの時、かごめを助けていたら
今頃、珊瑚のように
俺の子を産んでくれたのだろうか


ねぇ
法師様
犬夜叉、つらくないんだろうか?
祠でみるだけなのでしょう。
私が、琥珀がそばにいながら
触れることができなかったように

うむ...
つらいでしょうな。

あの時、紛い物でも桔梗様を選んだ犬夜叉
かごめ様から手を離した犬夜叉

その枷は犬夜叉しかとけないから
井戸をとおりぬけても
触れ合えない...厳しい罰だ

弥勒は珊瑚を抱きしめ

こうやって、いとしい女に
触れることができない

厄介な呪いです。
私なら。珊瑚に触れ合えないなら
死んだ方がマシです。




法師様...

まだ。できないよ。
産んだばかりだから


...残念です。胸元に手をいれようとして。珊瑚に抓られた


...一体何人作るつもりなの?
法師様


珊瑚が魅力的ですから
体が許す限り...
そして、珊瑚の生まれ故郷にまけないくらいですかね

...あたし、死んじゃうよ。


風穴がある間、珊瑚といきていけるか不安だった

今はこうして。子がいて
珊瑚がいる

犬夜叉にも。こんな穏やかな幸せな時間を作らせてやりたいのだが





高校の卒業も
かごめにはうれしくなかった

この先、私はこの犬夜叉の世界で
生きていかなくて

あんなに好きになる人なんて
...

犬夜叉...




3年。井戸は通じなかった
きっと。桔梗がいきて
幸せ...なんだよね
今頃


あたしがいなくても

いや、元々必要なかったのだから





祠の向こうで犬夜叉が叫ぶ

「ちがう。おれはおまえがいなきゃだめなんだ...かごめ...
...かごめ...」


家からママの声が響く

「かごめ!一人で大丈夫?
三人分しか旅行あたらなくて」



「私はいいから、ゆっくりしてきて...すこし疲れたし

ふと、かごめの母が急に

「あなたが何を思う聞かない。でもね。
犬くんも、きっとかごめに
あいたいんじゃないかな?
なんかね!御神木の夢みたのよ
だから...簡単に諦めちゃだめよ」


「...ママ」




爺ちゃん、ママ、早太は
由緒正しい神社がある
温泉地に二泊三日で旅行にでかけた

友人たちは恋人ができたりして
春休みに会う予定もない


「...また。ひとりか...」
高校生活の記憶あんまりないや

かごめとて、憂いのある顔立ち
美人でもあり、スタイルもいい
告白されることも多々あった



でも、銀糸のような毛に
黄金の、瞳をわすれることはできない

机に向かい、紙にかくのは
犬夜叉の姿...はは
一生独身かもあたし...未練タラタラ」


それでもいいか
嫌いになれないんだもん



みんなは今頃温泉だし
お風呂でも入ろう...

犬夜叉と唇を、合わせた日を
思い出す...ずっと、そばに
いられるとおもったのに...



ぼーとしていたのか?
玄関の鍵を、しめていなかった

そのまま、かごめは入浴しはじめた


忍び寄る、不審な男の影
以前から、かごめをねらっていたのだろう
神社の美人の娘
男の欲望は。祠の犬夜叉に伝わる



祠から全てがみえる犬夜叉は
「かごめーにげろー...なんで
開かねえんだよ!」

刀をだしても。扉ははじく

爪をたてても祠はひらかない


かごめが頭を洗っている後ろから
その男は抱きついた...
そして、数発殴り気絶させた
全裸のかごめ
生娘
男からは欲望の炎しかみえない

「...うっう...」

頭の中で最悪な事態が
かごめ。犬夜叉も浮かぶ

妖怪なら、かごめの結界が効くのに。人間じゃ...

ちくしよ...ちくしょ


心の中で叫ぶ

いやぁー
...犬夜叉...いぬやしゃー
助けてぇ...
犬夜叉以外に触れて欲しくない
薄れゆく意識、唇の中に
殴られた鉄の味

このまま、慰みものになるなら...

舌が噛み切って死んでも
いい...


そのかごめの声が
犬夜叉に届いた


鉄砕牙が脈打ち光る

その時祠の扉はかがやき
自然に開いた

刀に導かれながらかごめの元へ




かごめー!


ガラスを割り入ってくる
銀色の髪に金色の瞳

かごめを穢そうとした
男をぶちのめし
殺してやろうかと
でも...

神社のはるか。遠くに
ぶんなげた

殺してしまいたかったが
それは、かごめが嫌がること



無事か?
かごめ...
あの野郎...こんなに唇切りやがって


い、犬夜叉...



夢じゃないよね...
私。舌噛み切って死んじゃったとから


ばかっ!
しんでねえよ
死なせてたまるか

裸のまま
犬夜叉に抱きつく

「もう。逢えないって...」

涙が溢れる

「おれも、お前を抱きしめたくてしかたなかった...かごめ...

犬夜叉も涙を流す



自然に重なる唇...


冥道で会えた時に
重なった唇から3年


三年分のお互いの想い


「...そ、そのまんまじゃ、かぜひくぞ」
かごめに長方形の布をかぶせて
かかえて
照れたよう浴室を出て家の玄関を
見回り、部屋に帰る

3年ぶりに入ったかごめの部屋は
女の匂いにかわっていた

かごめの匂いだ...


お風呂からあがりタオルでまいたままのすがた

ベッドに寝かせて
他に傷はないか、みる
昔より。大人びて
ドキドキしていた


犬夜叉は、ベットの上から
かごめを、みつめて

犬夜叉...


ん?痛えのか?




思わず。再び犬夜叉に抱きついて
夢じゃないよね?

犬夜叉だよね?


...あったりめえだろ

あいたかった...
もうあえないって

桔梗と幸せに過ごしているって
ずっと思ってた


かごめ。おれは骨食いの井戸は通れたんだ、でも祠から出ることもできず。お前に声も姿もだすことができなかった


すまねえ...
最後に俺がお前を助けたら
こんな、長い間つらい思いさせずにすんだのに

すまねぇ...

かごめ、聞いてくれ
おれの中で完全に桔梗はいねえ
ちゃんと、墓に別れを告げた
50年まえにおわったことだ
もう、思うこともない

三年間お前だけを思い
毎日会いに来ていた
触れなくても、でも会いに来た


一緒に戦ってる時に
俺が桔梗のとこにいく
お前の辛さを、3年味わった

謝ってすむことじゃないが

おれはおまえを愛してるって
よくわかったんだ
だから、もう二度と離れたくない
失いたくない...


...犬夜叉...


あたしも、犬夜叉に逢いたかった
苦しかった...
離れるなら
何故出逢ってしまったのかと
でも、今、犬夜叉に触れてる...



俺がお前以外に想いを寄せることはない...


三年...苦しかった

もう。お前は誰かのものに
なっちまったんじゃないかって


でも、かごめの心は
ながれてきてたんだ。

俺を呼ぶ声
泣く姿
毎日会いに来て、いつか触れ合える日を願い...500年の時の井戸を
通った


...だから


二度と離さねえ、誰にも
渡さねえ

親父は、お袋を大事に思い
俺を残した
犬夜叉と、言う名前と
かごめ、お前に出会うために


ぎゅっと抱きしめる犬夜叉から
雫が、落ちる


...犬夜叉?

お前が俺に色々おしえてくれたのに

俺はお前を泣かせでばかりだ

...すまねえ



...ううん、

会いに来てくれてたんでしょう?
さっきも助けてくれた


...ずっと...逢いたかった
ずっと......




...かごめ...。

やさしくかごめの髪をなで
ながら




かごめの甘い香が漂い爪できずつけぬように
強く抱きしめ
牙があたらないように
唇を重ね、かごめの口腔を犯し
舌を絡める

んっ...ん

そっと、かごめをベットに寝かし
火鼠の衣をぬぎさる

体の奥から
触れ合いたいと細胞が叫ぶ


かごめ...俺はお前の全部が欲しい...いやか?



真っ赤になり
首を横に振り



...私も犬夜叉のもの
してほしい...

犬夜叉だけのものに...


...あっ、でも

あたしはじめてなの...



...おれもだ


...えっ、だって

桔梗とは...犬夜叉が口を塞ぎ
そこまでの仲じゃなかった

それに抱きたいなんて感情
いままでなかったんだよ。


犬夜叉の首に手を回し


...やさしく、いっぱい愛してくれる?


...ああ。いっぱい愛してやる
手加減できねえかも





<続く>